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2011 Fiscal Year Research-status Report

環境リスクの社会学の構築-水俣病研究からの一般化

Research Project

Project/Area Number 23530659
Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

平岡 義和  静岡大学, 人文学部, 教授 (40181143)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords水俣病 / 原発事故 / 組織的(集合的)無責任 / 環境リスクの認知構造
Research Abstract

本年度は、水俣病に関する資料、文献を補充しつつ、水俣病対応のミクロ・メゾレベルの社会過程の再構成を進めた。また、水俣病との対比事例を考えるための予備作業として、様々な環境問題に関する文献の狩猟に努めた。特に、昨年3月の福島第一原子力発電所の事故という事態を踏まえて、この事故への対応過程、これまでの事故対策の放置過程を取り上げる方向で、原子力関係の文献を重点的に収集し、検討を行ってきた。両事例の検討の中で明らかになったのは、様々な組織の個人、部署において、小さな不作為の積み重ねによって、必要な対策が取られなかったという、「組織的ないしは集合的無責任」という現象の存在である。まだ、概念的に詰められていないが、この概念を基軸にして、環境リスクへの対応過程に関する再構成を進めていく方向性が見いだされた。 その中で、年度の後半に、中日新聞社と共同で「震災・原子力・防災」をテーマとした静岡県民に対する質問紙調査の機会を得た。こうした大規模な質問紙調査は個人では実施しがたい。また、環境問題へのミクロレベルの対応過程を考える上で重要な人々の環境リスクの認知構造に関する分析を、今回の研究の一部に組み込むことにして、質問紙の設計、調査結果の分析に一定の時間を割いた。まだ途中段階ではあるが、分析の結果として、自らの所属階層の認知が、環境リスクの認知に関係していることが認められた。このことは、環境問題への対応において、個人の階層的な位置が関係することを示唆するものである。この結果について、研究会(3月24日)で発表するとともに、環境社会学会のセミナー(6月3日)でも報告する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究実績の概要に記したように、本年度の後半に中日新聞との共同調査を実施することになり、調査票の作成・検討、データの分析などに一定の研究時間を割くこととなった。このために、当初の計画である水俣病対応の社会過程、他の環境問題の事例における社会過程を考察するための、文献資料の探索、収集、検討に当てる時間が、やや手薄になった。 また、原発事故に関する文献は膨大であり、その検討には多大な時間が必要である。研究実績の概要に記したように、中心となる概念の着想は得ているが、それを事例、データの裏付けをもって洗練するには今しばらく時間が必要であると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

23年度に研究費、特に旅費の支出が少なかったのは、後期は研究専念期間として明治大学文学部に客員研究員として籍を置いたため、明治大学への往復と兼ねて文献収集などの活動を行うことになり、結果として科研費からの旅費の支出が不要となったからである。 今年度は、前述した調査の補完として、「リスク・公正研究会」のメンバーと連携して、環境リスクに関する意識調査の実施を予定している。 それとともに、原発などの環境リスクに対する社会過程にかかわる文献の収集を積極的に進め、検討を行っていく。そこで得られた知見を、水俣病対応の社会過程と対比する。その中で、前述した「組織的(集合的)無責任」と呼びうるような事象の連鎖がどのように出現しているのかに注目し、異同を明らかにし、環境リスク対応の社会過程の一般化をめざしていく。 さらに、次年度に向けて、マクロレベルのリスク社会論に関する文献の探索、狩猟も進めていく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

推進方策に記したように、今年度は、「リスク・公正研究会」のメンバーと共同で、環境リスクに関する意識調査を行うことになる。そのための打ち合わせ(東京)、資料収集、調査(調査地は未定)、また水俣病に関する補充調査、環境社会学会における発表(秋田)などで国内旅費を使うことになる。 また、原発を中心に様々な環境リスク対応の社会過程に関する文献、および上述のリスク社会論に関する文献を収集するために、多くの研究費を使用する予定にしている。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 環境リスクの認知構造-中日新聞・静岡大学共同調査から2012

    • Author(s)
      平岡義和
    • Organizer
      リスク・公正研究会
    • Place of Presentation
      明治大学(東京都)
    • Year and Date
      2012年3月24日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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