2013 Fiscal Year Research-status Report
看護・介護分野における外国人労働者受け入れの政策比較研究
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23530664
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
大野 俊 清泉女子大学, 文学部, 教授 (10448409)
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Keywords | 看護師 / 介護士 / 外国人労働者 / 移民 / ケアワーカー / 政策比較 / EPA / 越境ケア |
Research Abstract |
2013年度は、これまでフィールドワークを実施したことのなかったヨーロッパ諸国における移民(外国人)看護師・介護士(ケアワーカー)受け入れの制度・政策やその実情について、本格的な現地調査を実施し、多数の関係者への面談や関連する資料収集で、初回現地調査としては、ほぼ満足できるデータ収集ができた。 まず、2013年7月26日に研究協力者のマリオ・ロペス京都大学東南アジア研究所助教(当時)をの勤務先の都内の大学に招き、この年の欧州における共同調査について入念な打ち合わせを実施した。また、8月17日には、来日中のイギリス人看護師(ロンドンの病院で勤務)に都内で面談し、英国の移民看護師の実情についてインタビューした。 こうした予備的調査を踏まえたうえで、欧州の実情に詳しいロペス氏と手分けし、英国、ドイツ、ノルウェーにおける関係者にメールや電話で面談を申し込むアポイントメント取りの作業を行った。 その結果を踏まえ、同年8月21日から9月9日の間、ロペス氏とともに、英国(ロンドンとその近郊の都市)、ドイツ(ベルリン、フランクフルト)、ノルウェー(オスロ)の3カ国を訪問した。そこでは、移民看護師・介護士の受け入れに関わる現地の政府機関、日本大使館、フィリピン大使館、国際機関(国際移住機構など)、業界団体(看護協会など)、官民の病院、民間の看護師教育専門学校などを訪問して聞き取り調査を実施のほか、現地で勤務するフィリピン人・日本人ら移民の看護師やケアワーカーにも面談した。 これまでの研究成果は、2013年1月にフィリピン大学で開催のフィリピン人看護師の移動に関する国際シンポジウム報告書(2014年3月、長崎大学刊行)に掲載されたほか、2014年3月1日に京都大学東南アジア研究所で開催の日本・フィリピン学会などで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で詳述したように、欧州事情に詳しい研究協力者のマリオ・ロペス・京都大学東南アジア研究所助教(当時)の同行を得て、2013年8月20日から約3週間、英国、ドイツ、ノルウェーの3カ国の各地で、移民(外国人)看護師・介護士の受け入れに関わる現地の政府機関、日本大使館、フィリピン大使館、国際機関(国際移住機構など)、業界団体(看護協会など)、病院、民間の看護師教育専門学校などを訪問し、移民(外国人)の看護師・介護士の受け入れに関する広範囲に及ぶ聞き取り調査を実施することができた。また、現地で、関連する資料や文献も、ほぼ満足できる程度、収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度中に、前年度までの調査で実施できなかった北米地域(カナダ・米国)に出張し、外国人(移民)看護師・介護士受け入れに関わる政府機関、病院、介護施設、研究者、業界団体などを対象とする現地調査を実施する。 この調査を踏まえて、高齢化が進む欧州・アジア太平洋諸国(米国・カナダ・オーストラリアを含む)における看護・介護分野における外国人(移民)受け入れの政策・実態を総括する。研究成果は、この年の7月中旬に横浜市で開催の国際社会学会などで発表する。 また、経済連携協定(EPA)の枠組みを中心にして、東南アジア諸国などから外国人の介護・看護労働者を受け入れている日本の政府など関係諸機関(厚生労働省、外務省、国際厚生事業団など)に対して研究成果をフィードバックするとともに、世界の送出し・受入れ諸国の実情を見据えて、より有効で効率的な政策・制度の実施に向けて提言を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
勤務先の大学で、大学院専攻主任を務めるなど、予想以上に公務が多忙になり、本研究で調査のための長期の海外出張は夏季休暇期間中に限られた。 このため、当初の計画案にあった北米での調査は、翌年度に延長せざるをえなくなった。 カナダ・米国における看護・介護分野における移民(外国人労働者)受け入れに関する現地調査を実施する。また、学会などで発表のため国内出張を行う。こうした旅費を中心に、科学研究費補助金を活用する。
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