2011 Fiscal Year Research-status Report
地域社会の社会的変動過程としての地域情報化に関する社会学的研究
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23530668
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
城戸 秀之 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (00204933)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 情報 / メディア / 地域情報化 |
Research Abstract |
今年度は研究の基盤となる大分県での地域情報化の実情を把握することを主眼として情報通信基盤整備をおこなっている自治体への調査を行ったが、その際には住民サービス事業としての運営形態・利活用の状況を把握するだけでなく、サービスの提供・利用において地域社会に依拠する準拠枠の存在とその可能性に焦点を合わせて調査をおこなった。 調査は臼杵市役所、臼杵市教育委員会、大分市役所、大分市教育委員会、大分市情報学習センター、大分県庁、大分県教育委員会でおこない、以下の知見を得た。情報基盤整備に関しては、大分県内では早くから情報基盤整備を進めたこともあり、放送のデジタル化など全国に共通する施策が中心で、既存の情報通信基盤の更新を除き、全体としては以前よりも地域社会の主体的選択が見えにくい状況にある。これはクラウドコンピューティングにみられるように情報通信環境がより大規模なシステムを必要とすることを反映しており、地域情報化において地域社会の主体性を発揮しにくい環境になったことがわかる。 大分市の情報学習センターでは早くからセンターでの情報講習の修了者を地域単位でボランティアとして組織し、地区公民館で講習を行っている。これは個人への一方向的なサービス提供を、ユーザの協同に基盤をおく集合的なサービスに転換しているものと評価できる。これは基礎的な情報スキルの習得という情報利用そのものを目的とする活動に限られているが、大分市の公民館活動、臼杵市の公民館活動に関する調査からは、一般的な活動をおこなう生涯学習団体に対して、団体の活動に特化した情報スキルをまとめた講習を実施する可能性が見いだせた。これまでは情報格差の解消は個人ユーザに焦点を合わせて施策が進められてきたが、これは今後地域団体ベースでの情報サービスの提供が必要性とその可能性を示す知見であると評価できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は学部教務委員長を務めたため、公務により多くの時間を割く必要があり、に予定したエフォートを十分に確保することができなかった。具体的には、中津市、豊後高田市への聞き取り調査と大分市、臼杵市での民間団体への聞き取り調査を行うことができなかった。 その一方で、調査をおなった自治体での地域情報化施策に関する基礎的な資料・情報は収集することができ、特に臼杵市では担当所管との意見交換を行い、生涯学習団体に対するアンケート調査の準備を進めることができた。また、当初予定していなかった大分県教育委員会の調査では、新たに構築された大分県の教育ネットワークでは、行政組織を前提とした業務での利用にくわえて、利用する教職員のユーザの間でそれまでになかった業務の枠を超えた協同的な利用が可能になったことがわかった。この点は予想を超える新たな知見ということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成23年度の調査で明らかになった団体ベースでの情報スキル・情報サービスの提供の可能性に焦点を合わせて調査研究を行っていく。平成24年度は臼杵市での生涯学習団体向けの情報サービスを提する可能性について、行政と関連団体への聞き取り調査をおこなうとともに、臼杵市の協力を得て活動における情報活用の実態とニーズに関するアンケート調査を生涯学習団体に対して実施することを予定している。大分市では情報学習センターのボランティア活動の調査をすすめ、そこで機能している「地域」の準拠枠を探るとともに、公民館活動一般への拡大の可能性を検討する。大分県教育委員会においても文書の伝達や校務以外の領域での職業圏における社会的利用とそれを支える社会的準拠枠のあり方について検討をすすめる。 これとともに、前年度実施的なかった中津市と豊後高田市への聞き取り調査をおこない、地方社会での情報通信ネットワークの構築と利活用に関する知見を集めたい。中津市は広域合併に伴う中心地域と周辺地域の格差是正の効果に、豊後高田市では地域活性化事業との関わりに焦点を合わせて情報と資料の収集をおこなう予定である。 また、現在の情報化政策、情報化事業の特徴を整理し、大分県の事例の重要性と意義を理論的にも明らかにするために、文献による研究をおこなう予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、交付予定額500,000円のうち340,000円を聞き取り調査に必要となる旅費(国内旅費)に割り当て、研究の基礎となる資料の収集を丹念に実施する。対象としては、大分県庁、大分市、臼杵市に加えてい本年度実施できなかった中津市と豊後高田市の調査を計画している。あわせて、比較のため鹿児島県薩摩川内市での調査を検討している。これに加えて、文献による理論研究および情報収集をすすめるため、50,000円を物品費(設備備品費)に割り当てる。 このほか、資料整理に必要なパソコン関係の消耗品等の購入のため物品費(消耗品費)に50,000円、資料整理の研究補助のため謝金等として40,000円、アンケート調査を予定しているため必要な通信費をその他として20,000円割り当てている。
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Research Products
(2 results)