2011 Fiscal Year Research-status Report
保護者と教師の連携を促進する保護者面談に向けた研修プログラムの開発
Project/Area Number |
23530849
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上村 惠津子 信州大学, 教育学部, 教授 (30334874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石隈 利紀 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (50232278)
永松 裕希 信州大学, 教育学部, 教授 (60324216)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 保護者面談 / 教師の発話 / 連携 / 研修プログラム |
Research Abstract |
平成23年度は、保護者との連携を促進する保護者面談における教師の発話モデル(上村・石隈,2007)に含まれる発話を、教師が実際の面談でどの程度行なっていると感じているか明らかにすることを目的にアンケート調査を行なった。対象は、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教員167名。アンケートでは、15項目の発話について4件法(全く行なわない、あまり行なわない、時々行なう、よく行なう)で回答を求めた。その結果、「教師が知っている子どもの情報を伝える」「保護者が知っている子どもの情報を保護者に尋ねる」「今後の対応策を伝える」「相づちを打つ」「同意や賛同を示す」「面談のはじめと終わりにねぎらいや謝意を伝える」といった発話は、「よく行なう」「時々行なう」と回答した教師が全体の90%を超えた。これに対し、「面談目的を伝える」「面談目的を尋ねる」「保護者の対応に対する感想や評価を伝える」「教師の対応について意見を求める」「自分自身の経験や価値観、感情を保護者に伝える」といった発話では、「全くしない」「あまりしない」と回答した教師が20%を超えた。特に、「面談目的を尋ねる」では79.9%、「教師の対応について意見を求める」46.4%、「保護者への対応に対する感想や評価を伝える」36.9%に上っていた。これらのことから、保護者面談においては、多くの教師が、保護者の話を傾聴する態度を示しつつ、子どもに関する情報を交換し、今後の対応策を伝えていることが明らかになった。一方で、保護者の視点から面談目的や教師の対応について意見を求める機会が少なくなる傾向があることがうかがえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定では、小学校教諭を対象に、(1)教師の個人特性に関する質問、(2)発話実態に関する質問、(3)連携に対する満足度で構成した調査を実施する予定であった。教師を対象に調査を実施したものの、調査対象を小・中学校、高等学校、特別支援学校の教員に広げたこと、調査内容を(2)発話実態に関する質問に絞ったことから、当初予定した(1)~(3)の共分散構造分析をするには至っていない。しかしながら、今後、学校種別に分析を進めることにより、学校種による教員の発話特徴について検討することができるのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、以下の2点に取り組むこととする。 第1に、平成23年度に実施したアンケート調査についてさらに詳細な分析を行なう。小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の学校種による分析、教諭、講師等の職種による分析をはじめとして、モデルに基づくプロセスの特徴等についても分析を進める予定である。特に、保護者面談における教師の発話分析から教師の発話特徴として以下の3点が明らかにされている(上村・石隈,2008)。(1)「面接の目的確認」の発話が少ないこと。(2)他職種には見られない「振り返り」の発話があること。(3)「今後の対応検討」の発話があること。そこで、教師を対象としたアンケート調査においてもこれらの特徴が認められるか、分析する。 第2に、教師にインタビューを行ない、保護者面談や保護者との連携にどのような意識を持っているのかを明らかにする。これに基づき、保護者面談における教師の発話特徴について教師の視点から分析を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、当初計画で見込んだよりも安価に研究が完了したため、次年度使用額が生じた。平成24年度には、次年度使用額を含めた研究費を、インタビュー調査の実施・アンケート調査とインタビュー調査の分析にかかわる物品費として40万、インタビューの逐語録作成に伴う謝金として20万、研究打ち合わせ及び情報収集のための旅費として30万、その他調査実施のための会場費および会議費として13万を使用する予定である。 物品費では、外会場でのインタビュー調査のデータ収集に必要な視聴覚機器、データ入力用ノートパソコン等の購入を予定している。また、旅費では、主に教育心理学会、学校心理士全国大会、LD学会へ参加を予定している。これらの学会のポスター発表やシンポジウムに出向き、情報交換および情報収集することを計画している。このほかには、インタビュー調査を行なうための旅費、研究打ち合わせのための旅費として使用する予定である。謝金は、インタビュー調査で録音したインタビューデータを逐語録作成を業者に依頼する予算として計上した。なお、この他に、調査会場費や会議費の支出が見込まれるため、これらをその他として計上した。
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