2013 Fiscal Year Research-status Report
保護者と教師の連携を促進する保護者面談に向けた研修プログラムの開発
Project/Area Number |
23530849
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上村 惠津子 信州大学, 教育学部, 教授 (30334874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石隈 利紀 筑波大学, 副学長 (50232278)
永松 裕希 信州大学, 教育学部, 教授 (60324216)
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Keywords | 保護者面談 / 連携 / 教師のニーズ |
Research Abstract |
本研究の目的は、平成19~22年度に行った研究成果をもとに、保護者面談における教師の発話実態を明らかにするとともに、継続的スーパーバイズ(以下SV)の実施により研修プログラムの内容を検討することである。 平成23年度には、保護者面談における教師の発話実態を明らかにすることを目的に、教師を対象とするアンケートを行った。その結果、保護者面談では、面談目的が曖昧である傾向があること、教師が自らの対応を検討し振り返る機会を持つことに抵抗があることが明らかになった。そこで、平成24年度は、振り返りへの抵抗の背景を明らかにするため、教師へのインタビューを行った。その結果、教師へのバックアップ体制の弱さや教師自身の気持ちの余裕のなさが、振り返りへの抵抗につながるとの意見が聞かれた。教師の発話特徴である振り返りを活かすには、その意義を伝える研修と、担任へのバックアップ体制が必要であることが示唆された。 これらの結果を踏まえ、平成25年度は、特別支援教育コーディネーター51名を対象に、教育相談の難しさについて自由記述によるアンケートを行った。その結果、保護者との連携に関する内容において、保護者との問題共有の難しさ、協力関係・信頼関係づくりの難しさ、方略の選択の難しさ、援助の実践・フォローアップの難しさを感じているとの回答が得られた。これらの結果から、教師には、保護者面談において困難さを感じるポイントがそれぞれにあることがうかがえた。保護者との連携を促進する保護者面談を目指すには、教師が抱える困難さに焦点をあて、これに沿ったSVや研修を行うことが必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、平成25年度までに、振り返りの発話が少ない教師を対象に継続的SVを行い、最終年度の平成26年度には保護者との連携を促進する保護者面談の実践に向けた教師の研修プログラム内容を検討することを目的としていた。しかしながら、継続的SVを行うには至っておらず、当初予定の到達度としてはやや遅れている状況である。 これまでに、アンケートおよびインタビューを実施し、振り返りの発話は教師の発話特徴ではあるものの、振り返りの発話促進を目指すには、学校の支援体制や教師の余裕のなさなど様々な要因から抵抗があることが明らかになった。教師が保護者とよりよく連携していくことを考えるのであれば、振り返りの発話を促進することのみに焦点をあてるよりも、保護者との連携において教師が抱える困難さに焦点を当てる方が、教師のニーズに即したSV、研修を展開することが可能になると考えらると思われる。 以上のように、これまでの研究では、当初予定していた継続的SVには至っていないものの、アンケートとインタビューに基づき、SVや研修プログラムの方向性を検討することができた。最終年度においては、教師が抱える困難さに焦点を当てた継続的SVを実施し、その結果からSVおよび研修プログラムの内容をより具体的に検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 平成26年度には、保護者面談において教師が抱える困難さに焦点をあて、継続的SVを実施することとする。平成25年度のアンケート結果から、教師が保護者面談において抱える困難さは、主に保護者との問題共有であることが明らかになった。また、少ないながらも方略の選択や援助の実践・フォローアップについて困難さを抱えているケースもある。そこで、継続的SVにおいては、まず始めにSVを受ける教師の困難さを把握することとする。これに基づき、保護者面談における教師の目標を明確化し、これに向けてSVを展開する。さらには、継続的SVを受けた教師の感想、意見を確認する。これにより、保護者との連携を促進する保護者面談を目指したSV・研修プロプログラムの内容をより具体的に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画より、パソコンが安価に購入できたため。 平成26年度の研究費と合算して、データ収集のために必要な視聴覚機器を購入する予定である。
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