2012 Fiscal Year Research-status Report
前頭葉賦活課題による自閉症児の認知機能および行動改善に関する研究
Project/Area Number |
23530876
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉田 甫 立命館大学, 文学部, 教授 (80094085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川那部 隆司 立命館大学, 教育開発推進機構, 講師 (40617081)
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Keywords | 自閉症 / 訓練 / 計算 / 音読 |
Research Abstract |
12年度は、自閉症児に対する訓練研究を実施した。訓練方法は、前頭前野を賦活することが実証されている課題である易しい計算と音読課題を用い、これらの課題を1日に10分間実施するというものである。訓練は、2人の自閉症児(小学2年生と3年生の男子)を訓練群として、訓練回数は、1週間に4~5回おこなった。訓練者は、本研究担当者および児童が所属する学校の担任教員である。査定課題としては、主に神経心理学手家名検査であるが、まず前頭葉機能査定(FAB)、抑制機能課題(ストループ課題、SRC課題)、および日常行動評定尺度である。FAB、ストループ課題、SRC課題は、実験的な方法で個別に査定したが、日常行動は担任教師による評定としておこなわれた。なお、対照群は、別の学校の同じく自閉症児3人であり、彼らは、訓練群の査定時期に合わせて査定課題をおこなったが、上記の訓練課題については一切実施しなかった。1年間にわたる訓練の結果、訓練群は、まずFABが事前から事後にかけて有意に得点が増加しており、前頭葉機能が改善されたことを示している。対照群では、そうした増加はなく、1年後にも変化はなかった。次に、抑制機能を測定するストループ課題とSRC課題では、類似した結果が得られた。つまり、訓練群では2人とも課題遂行時の誤りが低下していたが、対照群ではそうした変化は見られなかった。また日常行動の評定でも、訓練群では明らかな改善があった。こうして、今回の介入で、実験群の自閉症児では、認知機能や日常行動などが望ましい方向に改善できることが、示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
訓練研究を実施した。これは、研究の目的をほぼ達成したと言える。しかし、まだもう1つの訓練研究を予定していたが、それは実施できなかった。この研究については13年度におこない、研究目的を達成する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
先述したように、本年も、訓練研究を実施する予定である。特に本年は、自閉症児が表情理解の能力が不足しており、このために対人場面でさまざまな困難を引きおこす要因の1つであるので、この表情理解能力への訓練を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会発表をまず行う予定であるが、外国での発表が可能かどうかは、申し込んだ研究の審査の途中にあるので、未だ不明である。国内の学会では発表する予定である。また先進的な研究をおこなっている国内の大学の視察なども検討している。
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