2013 Fiscal Year Annual Research Report
精神療法過程Qセットを用いた心理療法過程の実証研究-大学院教育への応用-
Project/Area Number |
23530923
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山科 満 中央大学, 文学部, 教授 (40306957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 真記子 鳴門教育大学, その他の研究科, 教授 (70294733)
鈴木 朋子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (60422581)
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Keywords | 精神療法過程Qセット / 大学院教育 / 試行カウンセリング |
Research Abstract |
目的:客観的な指標に基づき,大学院におけるカウンセリング指導の教育課題を見いだす。 方法:A大学院(第1種指定校)において臨床心理基礎実習の一環として1年次の後期に行われる「試行カウンセリング」を研究対象とした。同大学院での「試行カウンセリング」は「折衷・統合的」な立場で教育指導がなされ,面接回数は5回と定められている。大学院生とその面接協力者の両者から書面で同意が得られた23例について,第3回面接の逐語記録を個人情報を削除した上で提出を受けた。この逐語記録を,PQS評定に熟達した2名の評定者が予備情報無しに独立して評定した。すべての面接で評定者間の一致度はSpeamann-Brown補正値で0.6以上であった。2名の評定の平均値を各項目ごとに算出して評定値とした。 A大学院とは別な大学院で試行カウンセリングの指導に当たっている教員2名が面接の評価を行った。評価方法は通常の4段階評価(A~D)とし,その基準は公表されているシラバスから採用した。2名の合議を経て,「良い」面接(AないしB)と「悪い」面接(C以下)の2群に分けた。2群間でt検定を行いPQSの100項目の評定値を比較した。 結果:「良い」面接,6例「悪い」面接16例(分類困難1例を除外)に群分けされた。群間で有意差が認められた項目のうちセラピストの行動に関するものは,「面接を構造化する」「自己開示する」「助言・ガイダンスを与える」「指導的に振る舞う」「面接外での課題について話し合う」「支持的である」「保証を与える」「中立的である」といった項目であり,「中立的である」以外の項目は,すべて「良い」群より「悪い」群で評定値が高かった(つまり目立ったということ)。 考察:面接の構造化,助言,課題の設定,支持といった技法の多用は「良い」評価に繋がらないことが示された。自己開示も面接の高評価には結びつかないといえる。前記の技法の使用と中立性の兼ね合いが指導上の課題であることが明確になった。
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Research Products
(3 results)