2012 Fiscal Year Research-status Report
対人援助職者の心理的特性の解明とそれに適合するストレスマネジメント技法の開発
Project/Area Number |
23530932
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Research Institution | Kyoto Bunkyo University |
Principal Investigator |
佐藤 安子 京都文教大学, 臨床心理学部, 教授 (60388212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 優年 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (00144098)
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Keywords | MBSS / レジリエンス |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒューマンサービスに従事する対人援助職者のストレス対処の仕組みにおける心理的特性を解明すること、及びこの特性に適合したバーンアウトを防止する実用性・汎用性の高いストレスマネジメント技法を開発することである。 当該年度に実施した研究は2課題であった。以下に具体的内容を述べる。第1は基礎データとして大学生243名を対象にストレス課題に対し、2つの特定の型(モニター型、ボランター型)の認知傾向をもつ人が、それに見合ったストレス認知をするかを調査研究により検討した。第2は先の2つの特性をもつ対人援助職者と大学生とでレジリエンスという立ち直りの力がどのように異なるのかを調査研究により比較検討した。 なお、モニター型とはストレス刺激を追及するタイプでボランター型とはストレス刺激を回避するタイプである。これらを抽出する質問紙はMBSSを用いた。 当初の計画では、まず佐藤・河合(2004)が開発したストレス自己統制評定尺度(SSI)の標準化ののちに、対人援助職者のストレス対処の特徴を検討する予定であったが、対人援助職者特有のストレス認知をより精緻化するために、ストレス刺激をどのように受け止めるかという2つの認知特性に絞ってまず大学生で基礎データをまとめ、次に大学生と対人援助職者を比較した。これらの調査の結果、社会経験とともに、適応への心理的資源が増してくるとともに、ストレス認知の型に見合って適応の仕方が異なってくることを反映していることが示唆された。 当該年度の研究の意義と重要性は、多くの心理的特性を示す軸から、2つのストレス認知の型に絞って検討することにより、早期に各個人に適合するバーンアウト防止のストレスマネジメント技法が開発できるようになったことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力者の一人が遠方へ転勤し、研究会の機会が減少したこと、及び研究代表者が体調を崩したことのためである、これに伴ってデータ収集のプロセスに齟齬が生じたため、当該年度のデータ収集がペンディング状態となったためである。また、研究実務の途中で明らかにすべき研究課題が発見されたため、これに対応したことも理由の一つである。しかしこれらの問題への対応ができているため、キャッチアップできると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標は、2つある。1つ目は対人援助職者が職歴を積むに伴ってその心理的特徴がどのように変化していくのかをコホート研究で縦断的に検討すること、2つ目は様々な対人援助職間で心理的特性とストレスマネジメントの方法がどのように特徴づけられるのかを横断的に検討することである。これには複数の研究者を巻き込みながら、今後数年を要するため、今着手している研究年度内に行うには無理がある。したがって長期的展望でこれを行う予定である。 本研究課題の最終年度には、上記の目標の基礎段階として対人援助職者を1つのグループとして、その心理的特徴を解明し、すでに行った研修会でのストレスマネジメントの方法と奏功機序を演繹的にモデル化する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本課題研究の、研究責任者、研究分担者、および研究協力者で研究会を開催し、次の課題への方向付けと具体的役割を決める予定である。 研究費は、プレゼンテーション用のプロジェクター、データバックアップ用の外付けハード、研究会メンバーの交通費と日当に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)