2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530994
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
寺崎 弘昭 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60163911)
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Keywords | 学校衛生 / 西洋教育史 / 身心思想 / 健康 / 衛生 |
Research Abstract |
1. 1904年にニュールンベルクで開催された「学校衛生国際会議」(International Congress on School Hygiene)のその後を追っていたところ、1907年ロンドンで開催された第2回学校衛生国際会議に続き、第3回はパリで1910年に、そして第4回はアメリカ合衆国のバッファローで1913年に開催されたことを確認し、第4回学校衛生国際会議会議録(Fourth International Congress on School Hygiene: Transactions, 1914)の第1巻・第5巻を蒐集することができた。三島通良も名を連ねたこの第4回学校衛生国際会議は主としてアメリカ学校衛生協会(American School Hygiene Association)によるものであった。 2. 連携研究者1名をフランス・パリに派遣し、人口衛生史研究者との情報交換、および史料調査・蒐集のため、現地調査研究を実施した。 3. 「学校衛生国際会議」の学校衛生論の裾野を成す英・仏・独における学校衛生論の歴史的展開について、英・仏・独それぞれを専門とする連携研究者との共同研究会を開催した。研究会においては、第一にフランスでの情報交換・資料調査の成果が報告され共有されるとともに、第二に、学校衛生(思想)史に直接関連する二つの先行研究についての報告と討論が行なわれた。一つは、S・パレール『フランス学校衛生史:18-19世紀』(2011)。もう一つは、Stephen Petrina“The Medicalization of Education: A Historiographic Synthesis”(2006)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目としては、研究対象の中心にある「学校衛生国際会議」(International Congress on School Hygiene)の第3回・第4回の開催が確認でき全容が見えてきた点で、見通しが開けてきた。また、学校衛生(思想)史に直接関連する先行研究についても、十分に依拠することのできるものについて検討し得、特に2011年刊行のフランス学校衛生史通史が見出せたことは大きい。これは、フランスでの現地調査の成果の一つでもある。次年度において、蒐集資料の分析および先行研究の検討・整理が進み、かつさらなる史料の蒐集が現地調査も含め進展することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
三つの方向での研究作業が、課題に関わって、推進される必要がある。 1. まず、今回新たに収集した第4回学校衛生国際会議会議録(Fourth International Congress on School Hygiene: Transactions, 1914)の目次整理を進めつつ、既に整理された、第1回学校衛生国際会議会議録および第2回学校衛生国際会議会議録の目次を踏まえ、また1891年にロンドンで第7回会議が開催された「世界衛生会議」会議録 (Transactions of the seventh international congress of hygiene and demography (Vol. iv: infancy, childhood and school life), 1892) 中から抽出された学校衛生が主題とされたものについて、一括して会議における学校衛生概念の展開の分析を遂行すること。同時に、第3回学校衛生国際会議会議録および第4回学校衛生国際会議会議録の欠を補うこと。 2. 「学校衛生国際会議」の学校衛生論の主要な裾野を成す英・仏・独における学校衛生論の歴史的展開を明らかにするために、英・仏・独それぞれの学校衛生関連著作および身心思想史(身心医学史・社会衛生史を含む)に関する史料の蒐集・分析を進めること。そのためにも、独・英について現地調査を実施すること。 3. また、英・仏・独それぞれの学校衛生(思想)史および身心思想史(身心医学史・社会衛生史を含む)に関する先行研究の収集・整理を進め、その知見を共有し、19世紀以降に誕生する「学校衛生(school hygiene)」概念を身心思想史のなかに位置づけ整理するために、連携研究者との共同研究会を開催すること。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. 第4回学校衛生国際会議会議録の目次を整理し、既に整理された「学校衛生国際会議」会議録の目次、また1891年「世界衛生会議」会議録中から抽出された学校衛生が主題とされたものを含め、一括してその中の学校衛生概念の展開を分析する作業を遂行する。 2. 英・仏・独それぞれの学校衛生関連著作および身心思想史(身心医学史・社会衛生史を含む)に関する史料の蒐集・分析を進める。そのために、平成25年度においては、独・英において連携研究者による現地調査を実施する。なお、平成24年度において「次年度に使用する予定の研究費」として遺された研究費使用額474,962円は、本来平成24年度に予定していた独における連携研究者による現地調査が連携研究者の事情と相手先との調整により次年度に延期されたために生じたものであり、これは平成25年度に実施される。 3. 英・仏・独それぞれの学校衛生(思想)史および身心思想史(身心医学史・社会衛生史を含む)に関する先行研究の収集・整理を進め、その知見を整理する。 4. 以上のそれぞれの研究成果を共有し整理するために、連携研究者との共同研究会を開催する。
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Research Products
(1 results)