2013 Fiscal Year Research-status Report
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23530994
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
寺崎 弘昭 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60163911)
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Keywords | 学校衛生 / 西洋教育史 / 身心思想 / 健康 / 衛生 |
Research Abstract |
1. 1904年に第1回が開催された「学校衛生国際会議」(International Congress on School Hygiene)について、1907年ロンドンで開催された第2回、1910年にパリで開催された第3回、そしてアメリカ合衆国バッファローで1913年に開催された第4回まで、それら会議録(Transactions)の目次をほぼ網羅的に整理することができた。特に、第2回・第4回に関しては、会議録全ての蒐集を完了した。その内容の精査により、第4回学校衛生国際会議において、「精神衛生(Mental Hygiene)」が前面化・全面化してきたこと、およびその中心にWilliam Henry Burnham(クラーク大学)の存在があったことが浮かび上がっている。 2. 連携研究者2名をロンドンおよびベルリンにそれぞれ派遣することができ、これにより、1.で述べた会議録の調査・整理、および「学校衛生国際雑誌」(International Magazine of School Hygiene)の第9巻までの蒐集・整理が可能となった。 3. 学校衛生論の歴史的展開について、英・仏・独を専門とする連携研究者との共同研究会を開催した。研究会においては、ロンドンおよびベルリンでの史料調査の成果が報告され共有された。ウェルカム医学史図書館での史料調査にもとづき、Arthur Newsholmeを中心にイギリス学校衛生論の動向が報告され、教育史研究図書館での史料調査にもとづき、「学校衛生国際雑誌」第6巻~第9巻の概要と、ドイツ学校衛生史に直接関連する先行研究(Bennack, J., Gesundheit und Schule: Zur Geschichte der Hygiene im preussischen Volksschulwesen, 1990)についての報告と討論が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年目としては、研究対象の中心にある「学校衛生国際会議」(International Congress on School Hygiene)の会議録がほぼ整理され、特に第2回・第4回の全体内容が具体的に分析可能となったことが大きな成果である。第1回も含め、先行研究も検討できた。また、「学校衛生国際雑誌」も第9巻まで揃い、これまた整理され得た。学校衛生(思想)史に直接関連する先行研究についても、十分に依拠することのできるものについて検討し得た。次年度最終年度において、蒐集資料の分析結果をまとめることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
三つの方向での研究作業が、課題に関わって、推進される必要がある。 1. まず、「学校衛生国際会議」(International Congress on School Hygiene)会議録の目次がほぼ網羅的に整理された成果を踏まえ、特に、1907年ロンドンで開催された第2回およびバッファローで1913年に開催された第4回の会議録の内容分析・比較分析を遂行すること。それによって、学校衛生概念の内包とその変容を、学校の「精神衛生(Mental Hygiene)」化プロセスとして浮き彫りにする。 2. 「学校衛生国際会議」の学校衛生論の主要な裾野を成す英・仏・独語圏における学校衛生論の歴史的展開を、学校衛生関連著作および身心思想史(身心医学史・社会衛生史を含む)研究に即して明らかにすること。特に、学校の「精神衛生(Mental Hygiene)」化プロセスにおいてWilliam Henry Burnhamおよびその周辺が重要な役回りを演じたことの歴史的意味について分析を遂行する。 3. 1.および2.の分析を進め、19世紀以降に誕生する「学校衛生(school hygiene)」概念とその変容を身心思想史のなかに位置づけ整理するために、連携研究者との共同研究会を開催し、成果としてまとめること。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度において「次年度に使用する予定の研究費」として遺された研究費使用額は、本来平成25年度に連携研究者との共同研究会を2回予定していたところ、連携研究者間の日程調整の困難により結果的に1回しか開催できずそのぶん次年度にもち越されたために生じたものによるところが大きい。 1. 「学校衛生国際会議」(International Congress on School Hygiene)会議録、特に第2回・第4回の会議録全巻の内容分析を中心として、そこに「学校衛生国際雑誌」(International Magazine of School Hygiene)全9巻の目次資料を付すかたちで、成果報告書としてまとめる。その報告書では、これまでの連携研究者との共同研究会で報告された学校衛生史に関する先行研究の紹介等も含め、新たにWilliam Henry Burnham(クラーク大学)に関する研究を進めまとめる。 2. 当初1回だけ予定していた共同研究会を2回開催して、十全な体制でまとめを遂行する。
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Research Products
(1 results)