2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530994
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
寺崎 弘昭 山梨大学, 総合研究部, 教授 (60163911)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 学校衛生 / 西洋教育史 / 身心思想 / 精神衛生 / 心理学化 |
Outline of Annual Research Achievements |
蒐集した史資料の整理と分析を行い、最終報告書『ヨーロッパ学校衛生論史研究』(平成27年3月刊行、全102頁)としてまとめ刊行した。その主な内容は、以下のようである。1904年にドイツのニュールンベルクで第1回会議が開催された学校衛生国際会議(International Congress on School Hygiene)は、その後、第2回が1907年にイギリスのロンドン、第3回が1910年にフランスのパリ、そして第4回が1913年にアメリカ合衆国ニューヨーク州のバッファローで開催された。第1章では、この一連の会議記録における言説展開を分析し、「学校衛生(school hygiene)」概念の展開を跡づけ、第2回会議を変曲点として第4回会議において教育の「精神衛生(mental hygiene)」化の湧溢・前面化が見られ、それによって「学校衛生」の転回と全面化が成立した次第を明らかにした。そのさい、「忘れられた心理学者・教育パイオニア」ウィリアム・H・バーナム(1855-1941)の役割を浮かび上がらせた。第2章では、この「学校衛生」概念が身体と精神を包括するプロセスの歴史的特質に照明をあてるため、対比的に、18世紀以前の養生論の構造を基層・古層として提示することを試みた。第3章では、第2回ロンドン会議で参加・報告を行ったアーサー・ニューズホーム(1857-1943)の学校衛生論に関して、彼の著作『学校衛生(School Hygiene)』(1887年)を中心として詳細に分析した。第4章では、第1回学校衛生国際会議開催に際して初代会長に就任した、ヘルマン・アドルフ・グリースバッハ(1854 - 1941)の1907年第2回ロンドン会議での講演「医学と教育学の関係」の全訳を試み掲載した。 また、研究成果として、蒐集・分析した史料の主なものについて、以下の3つの内容から成る「資料篇 : 学校衛生国際会議関連資料」をデータベースとして作成した。(1)学校衛生国際会議(1~4)会議録目次、(2)学校衛生国際雑誌1-9〈1905-1914〉目次、(3)学校衛生論著作目次一覧。
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Research Products
(1 results)