2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23531028
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
吉田 亮 同志社大学, 社会学部, 教授 (00220690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
物部 ひろみ 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (10434680)
小島 勝 龍谷大学, 文学部, 教授 (40140123)
竹本 英代 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (50294484)
本多 彩 兵庫大学, 生涯福祉学部, 講師 (90584798)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | アメリカ化 / エスニシティ / キリスト教 / 仏教 / 日系二世 / 宗教教育 / 日本語教育 / 越境性 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)今年度の研究: 吉田は、北加基督教同盟の活動を紹介しながら、YPCCにおける二世の活動を考察する。特にYPCCの活動では、世代間、日系・ホスト社会間、日米間にまたがる諸問題に対する二世キリスト者の対応について考察した。物部は、1927年、1928年、1939年、1940年に実施されたハワイからの見学団を事例に、見学団の歴史的変遷と二世の教育的意義について考察した。竹本は、南加日本語学園協会の教科書編纂の過程から、一世たちが目指した日本語教育を主とする二世の教育について考察した。本多は、日曜学校や仏教青年会の教育方針や活動を通して、世代・地域・宗派を超えた二世を取り巻く関係性を考察した。 (2)研究の意義: 本研究の三キーワードであるアメリカ化、道徳性、越境性から、本年度の研究を総括すると、以下の特徴がみてとれる。アメリカ化においては、地域、宗教間を越えて「アメリカ市民性」と「越境性」(エスニック化)とを兼備することが強調された。不況下と排日を生き抜くため、日米両国の文化資本を最大限、二世に活用させようという姿勢が観察できる。ハワイにおいては、交通網の整備もあって、日本やその帝国への見学団を頻繁に組織し、親の祖国の文化・慣習・エートスを体験的に学習させ、文化的に日米文化のハイブリッドでありながら、政治的にはアメリカ市民である「日系」市民を育成しようとしていたのである。米国本土でも、キリスト教、仏教青年会の活動にその傾向が見て取れる。両団体ともに、アメリカの「日系」宗教として、日系コミュニティや親の祖国に対する配慮、文化資本の継承を重視した活動が顕著にみられる。道徳性においては、宗教の違いを超えて、忠良な市民性と越境性のバランスの強調がみられる。
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Remarks |
研究叢書『越境する「二世」―1930年代南北アメリカの日系人と教育―』(現代史料出版)の2016年3月刊行に向けて研究成果をとりまとめ中である。
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