2013 Fiscal Year Annual Research Report
包摂的な教育制度・行政システム構築に関する実証的研究
Project/Area Number |
23531036
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横井 敏郎 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40250401)
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Keywords | 教育学 / 教育行財政 / 高校中退 / 不登校 |
Research Abstract |
本研究は、不登校や高校中退など、社会・家庭の不安定化を背景として浮上してきている就学の困難について、当事者や支援団体・機関、自治体行政各部門、学校への聞き取りと資料収集調査を通して、その排除のプロセスと構造、子ども・若者の居場所と学びの場の実態、行政の体制と支援の現状を明らかにし、包摂的な教育制度・行政システム構築のための課題と方策を検討するものである。平成25年度は不登校・高校中退経験者を多く受け入れ、卒業させているA高校を対象として、同校の学校運営・教育実践について調査を行い、これを通じて高校中退等経験者がやり直していける学びの場とはどのようなものかを検討した。同校の実践の基本には生徒の人格的発達(生徒間、生徒教師間の人間的な関係形成を通じた自己の再構築)が置かれており、それが困難な状況のもとで生きてきた生徒たちを支えていることが明かとなった。困難な状況にある子どもたちが高校教育から次のステージへと移行するには、単に学力面の保障だけでなく、その基底に人格的発達を置いた教育実践が有効といえる。不登校・高校中退への対応には多面的な取り組みが必要であるが、高卒資格が大きな意味をもつ現代日本においては学び直しの機会を保障することが非常に重要である。しかし、現在においていまだそれは不十分であり、本調査からはこうした面からの後期中等教育の再構築を図る必要性が示唆される。今年度調査については、北海道教育学会で発表しており、近く論文として刊行する予定である。また前年度までの不登校行政調査についての論稿を図書(共著)に収載した。前年度高校中退経験者調査についても報告書をまとめているところである。
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Research Products
(6 results)