2012 Fiscal Year Research-status Report
退職養護教諭を活用した新規採用者研修の課題と今後の展望
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23531091
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
下村 淳子 愛知学院大学, 心身科学部, 講師 (60512647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 典子 東海学園大学, 教育学部, 教授 (80552348)
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Keywords | 新規採用者研修 / 養護教諭 / スクールヘルスリーダー / 専門研修 / 退職養護教諭 / 力量向上 |
Research Abstract |
本研究は退職養護教諭を活用した新規採用養護教諭研修(専門研修)やスクールヘルスリーダー事業における効果的に実施できる研修内容のプログラム開発を目的としている。平成24年度は新規採用養護教諭研修の実態と課題を捉え、効果的な研修プログラムの構築を目指すためのモデル案の検討・作成を主たる目的とし、以下1~3を行った。1.新規採用養護教諭研修とスクールヘルスリーダー派遣制度の指導実態を捉えるために教育委員会に対して質問紙調査を行った。2.新規採用者研修とスクールヘルスリーダー派遣制度の研修内容の質を問うために受講者の養護教諭60名に対して研修前後の意識を尋ねた。3.「効果的な研修指導プログラム(試案)」を作成し、了解の得られた研修指導員に試行してもらうとともにその成果を克明に記録した。 その結果、1の調査結果については以下のような成果が得られた。平成23年度に専門研修を実施した教育委員会29件のうち,専門研修の実施回数や一日あたりの研修時間には教育委員会によって差があった.研修企画担当者が専門研修を企画・運営する上での課題は、「研修指導員の確保が難しい」「研修指導員に対するサポートが十分でない」が多かった。研修後の評価実態を確認したところ,新採養護教諭に対しては「他者評価と自己評価の両方行った」が多かった反面,研修指導員に対しては「両方しなかった」が大半を占め、研修指導員に対しては次年度の指導につながる評価を行っていなかったことが明らかとなった.これらの結果は、日本養護教諭教育学会第20回学術集会にて報告した。2の研究については,新規採用養護教諭研修を受講した感想や意識の変化などに関する調査票を回収・分析中である。3の研究については、研修指導員からの報告書をもとに内容を分析しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は①平成23年度中に行った教育委員会に対するアンケート調査の分析、②新規採用研修のモデル案の作成に向けた検討、③「効果的な研修指導プログラム(試案)」の試行と評価、④新規採用養護教諭に対して、研修前後の職業意識・自己肯定感情の変化、職務の遂行度合いなどの、意識・活動の両面から評価、の4点について行った。スクールヘルスリーダー制度を継続的に行っている静岡県・静岡市・浜松市の教育委員会や地元愛知県教育委員会からの全面的な協力が得られたことから、当初の計画以上に対象者を広げて調査をすることが出来た。また、研究協力者である研修指導員(退職養護教諭)からも、モデル案の作成に協力が得られ、質の高いモデル案ができた。今年度1年間、6名の研修指導員がこのモデル案を実際に用いて指導した成果が研究分担者のもとに届けられている。これら内容を精読するとともに、記述内容をテキストマイニングによって分析することで、さらに質の高いモデル案が完成すると期待できる。退職養護教諭を活用した新規採用研修の現状と抱える課題を明確にしたこと、教育委員会の指導主事らに対し、広く協力を呼びかけたことなどが、研究の大きな進展につながったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は最初に平成24年度中に実施した1.「効果的な研修指導プログラム(試案)」のデータ分析、2.新規採用養護教諭に対する研修前後の比較調査の分析、を実施する予定である。平成24年度に1年間かけて実施した6名の研修指導員の指導内容と受講した養護教諭のコメントをテキストマイニングによって分析することにより、「効果的な研修指導プログラム(試案)」の修正に活かせると考える。また、研修の効果を客観的に測定するために、介入前と介入後の2回、養護教諭の職務に関わる力量を測定する予定としている。これらの結果をもとに、プログラムの根拠をより明確にし、広く周知する際の資料とする予定である。 また、平成25年度は最終年度でもあることから、これまでの諸調査をまとめ、全国の教育委員会において養護教諭の新規採用研修に活かしてもらえる資料を作成・配付するための準備をすすめたい。具体的には、教育委員会に対して行った調査結果や資料として得られた各県の取り組みの紹介、本研究によって作成した「効果的な研修指導プログラム(試案)」の修正案とその実践例などを紹介したいと考えている。これらの研究成果を、より見やすくして全国の教育委員会の養護教諭の研修担当者に届けることを目標に、資料収集、データ解析をすすめていく予定である。さらには、本研究の結果は、東海学校保健学会(9月、愛知)、日本養護教諭教育学会(10月、兵庫)、日本学校保健学会(11月、東京)にて報告する予定でもある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として平成24年度に行った養護教諭対象調査のデータ処理の人件費や記録用のメディア媒体などの購入に使用したい。またこれらの成果を学会で発表するために第60回日本学校保健学会(東京)や日本養護教諭教育学会第21回学術集会(兵庫)の学会参加費・交通費にも使用する予定である。学会発表では映像を映しながら発表することから軽量なノートパソコンも1台購入する予定である。
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Research Products
(2 results)