2011 Fiscal Year Research-status Report
知識再構成型理科授業システムの構築による児童・生徒における自己調整学習の実現
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23531166
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
森本 信也 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (90110733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 圭司 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (00224501)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 自己調整学習 |
Research Abstract |
理科授業における自己調整学習の状況について、学習モデル及びその実施を行った。子どもが理科授業において情報を読み取る(テキストベース)、これを解釈し科学概念として加工していく学習(状況モデル)により活動を進めていることを明らかにした。これは、「状況モデルにより科学概念構築を図るための理科授業デザイン」、理科教育学研究Vol.52,No.3,pp.157-166に掲載された。 こうしたモデルによる学習が実施されるとき、それは子どもにおける自律性を基盤とした学習として現れることを明らかにした。これは、「学習における「自律性」を育成する理科授業デザインとその評価に関する考察」Vol.52,No.3,pp.143-156に掲載された。 これら二つの研究成果は、理科授業において子どもに自律的に科学概念を構築することを支援するための「学習ガイド」を作製するための基礎資料とすることができた。また、子どもへの支援に必要な教授行動とその評価を図る上での資料とすることができた。来年度は、これらを指針として小学校での理科授業を進め、子どもが科学概念を構築する学習環境のデザインのより詳細に分析する。その際には、子どもの学習状況を評価するための詳細な視点の分析を同時に図り、システムの強化を図っていく。特に、24年度においては理科学習についての初学者を対象とするので、こうした学習者の特性を加味した視点も取り入れていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究の最も中心は、子どもへの学習ガイドのキーとなる次の視点を理科授業へ組み込む方法論を実践的に明確化することであった。それは、科学概念、問題解決能力、観察・実験スキル、情報処理方法であった。これらの具体は、「状況モデルにより科学概念構築を図るための理科授業デザイン」、理科教育学研究Vol.52,No.3,pp.157-166、「学習における「自律性」を育成する理科授業デザインとその評価に関する考察」Vol.52,No.3,pp.143-156、として示すことができた。これらは、24年度以降で授業実践を通して、子どもが知識を振り返りながら再構築していく示していくための指針となる物である。それが、本年度の研究を通して明確することができた。それ故、おおむね研究は順調に進呈していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
理科授業を通した児童・生徒における知識再構成型授業システムの細部を分析し、自己調整学習の具体を実践的に示していく。そのためには、knowledge Forumの具現化としての児童・生徒の間の対話を通した理科授業の実践にあると言える。そのために、科学的な思考・表現を中心とした学習活動を促進する授業システムの開発が必須である。 科学的な思考・表現の評価内容と方法、科学的な思考・表現を促進する指導方法と教材についての開発がこうした、授業システムを運用する上において急務である。こうした視点を、小・中学校の理科授業を通して検証していくことが、本研究の今後の推進方策である。それは、当然のことながら、従前の教師主導、知識伝達型の授業形態を改変していく契機となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
理科の授業システム開発を行う上で、教材費は欠くことができない。そこで、小学校でこうした視点から理科授業を行う上ために物品費を計上する。また、これらの研究成果を学会で発表したり、小中学校での実践の場で研究の有効性を検証していくためには、出張旅費が必要である。旅費はをこの計画に充てる。また、児童の授業での思考や表現について、ヴィデオや描画から分析する必要が生じる。これら情報を整理するために、人件費と謝金を充てる。
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