2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23531198
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
島田 和典 大分大学, 教育福祉科学部, 講師 (50465861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 潤 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (40303482)
宮川 洋一 岩手大学, 教育学部, 准教授 (70552610)
市原 靖士 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (20572837)
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Keywords | 工業教育 / 工業高校 / 生徒 / 自己概念 / キャリア意識 |
Research Abstract |
本研究の目的は,工業高校における生徒(以下,工業高校生と呼ぶ)の自己概念(Self-concept)形成について,その形成過程及び有用性を明らかにすることである。 研究代表者らはこれまで,工業高校生が形成する自己概念の構造を明らかにすることを試み,自律性や専門性等を志向する工業高校生の自己概念の構造を明らかにするのとともに,自己概念の形成状況を把握するための測定尺度(工業高校における生徒の自己概念尺度)を作成した。しかし,工業高校生の入学段階での意識構造やその後の自己概念のへの影響力等は明らかにされていない。 本研究は上記の研究を基に,以下の調査・分析を行う。①中学校3年生または工業高校入学段階での工業高校生を対象とした調査を実施し,工業高校の入り口の段階での自己概念把握,②工業高校生の自己概念形成が,将来を見据えた種々の意識に果たす役割の検討,③海外の工業教育の現状を把握した上で,日本の工業教育との比較検討。 平成24年度は,上記①の調査を全国規模で実施し,その成果を関係学会において公表した。また,②に関連したこれまでの知見の整理と新たな調査を実施した。 ①について,調査は平成24年度4月に,工業高校(大分県,大阪府,鳥取県,滋賀県の各協力校)に入学した新1年生を対象として行った。調査の結果をテキストマイニングにより分類し,工業高校へ入学した段階の意識構造として,専門教科への期待感や将来に対する期待感等の意識群から構成されていることが明らかになった(成果公表:口頭発表1件,学術論文1件)。今後,これらの意識群と自己概念との関連性を縦断的に検討する予定である。②については,工業高校生の3年間での自己概念の変容を,縦断的に検討した内容を公表(学術論文1件)し,さらにこの知見に基づいて,職業的な自己効力感に着目した調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り,本研究は,①中学校3年生または工業高校入学段階での工業高校生を対象とした調査を実施し,工業高校の入り口の段階での自己概念把握する,②工業高校生の自己概念形成が,将来を見据えた種々の意識に果たす役割の検討する,③海外の工業教育の現状を把握した上で,日本の工業教育との比較検討することを計画している。 まず①においては,平成23年度に準備した調査を,平成24年度の年度当初と学年末の2回,約800名の工業高校に在籍する同一生徒群を対象に実施している。年度当初の調査から得られた知見は関係学会での発表に加え,学術論文として関係学会に投稿している。次に,②において平成24年度は,これに先立つ基礎的な知見として工業高校3年間の縦断的な変容を明らかにし,学術論文として掲載している。この知見を基に,将来を見据えた意識として職業的な自己効力感に焦点を当てて,調査を行った。特に工業高校3年生については継続的な縦断的検討を視野に入れ,平成25年度についても継続的な調査を行う予定である。 一方,③については,平成23年度に実施した米国の工業教育の視察を研究分担者らと協議し,我が国との相違点等についての検討を行った。 以上から,概ね当初の計画通りに研究は遂行しており,一部は計画以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,上述①に係る調査の集計を行い,加えて分析,考察,成果の公表を行う。まず,平成24年度で明らかになった工業高校生の入学段階の意識群と入学段階の学習目標志向との関連性を検討する。次に,入学段階の意識群と1年後の自己概念形成との関連性を縦断的に検討する。また②への対処として,平成24年度に実施した調査(工業高校生の職業的な自己効力感)に基づき,分析,考察を行う予定である。特に,①との関連性を考慮し,入学段階の意識と自己効力感との関連性を視野に入れ検討する。 ③においては,平成23年度の米国の工業教育の調査に続き,中国・韓国等のアジア諸国の工業教育の現状を現地視察等を通して調査し,我が国の現状との比較検討を行う予定である。なお,研究者らの安全確保の点から,昨今の国家間の情勢を十分に考慮し,現地視察場所(海外の工業高校等)の選定を行う。 さらに,最終年度となる平成25年度は,3年間の事業の総括を行い,報告書の冊子作成等,成果の公表に積極的に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時の研究経費の使用計画に基づき,平成25年度は以下の通り計画している。 1)設備・備品費:分析用PC,分析用ソフト等は既に研究機関に設置されているものを活用する。その他としては,関係図書,調査・会議等に係る膨大な印刷関係の経費として使用する。 2)旅費:平成24年度に予定していたアジア諸国の現地視察については,現地の情勢等の関係から平成25年度に実施することが適切と判断し,当該旅費を平成25年度使用額(次年度使用額)に計上している。現地の情勢等を考慮し,適切な時期に実施する予定である。この他,研究協議実施のための旅費,研究成果公表(関係学会等での発表)のための旅費として使用する。 3)謝金等:必要に応じて膨大な調査結果のデータ入力等の謝金として使用する場合がある。 4)その他:郵便や宅配等通信にかかわる費用,また成果公表のための論文投稿料として使用する。
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Research Products
(5 results)