2011 Fiscal Year Research-status Report
単元デザイン作成過程において表出・創造される教師の実践的知識解明に関する研究
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23531247
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
石上 靖芳 静岡大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50402227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益川 弘如 静岡大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50367661)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 実践的知識 / 専門職 / 単元デザイン / 校内研修 / 協働 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第1に、複数の教師が単元デザイン作成過程に参加し、個々の教師が保有する実践的知識を基盤に対話を通して作成される単元デザインの知識創造のプロセスを具体的に解明すること、第2に、同僚との対話によって表出された教師の実践的知識を整理することにある。データ収集にあたっては、静岡県富士市T小学校の校内研修へ通年を通して参加し、事前における教師の共同による単元デザイン作成プロセス及び授業研究実施後の事後研修におけるグループ研修の発話を記録した。小学校社会科を題材に単元デザイン作成において表出された実践的知識の分析を行った結果、以下のことが明らかとなった。(1)社会科の単元に卓越した熟練教師ほど、過去の経験から獲得された教授方略及び、学習内容と教授方略が融合した複合的な実践的知識を豊かに保有している。(2)複数の教師による対話のプロセスから、単元デザイン作成の文脈上において「学年を超えた単元の系統性の確認と位置づけ」「課題の解明につながる証拠を見つけ出せせる」「機を見計らいゆさぶりをかける」など様々な教授方略が表出され、豊かに単元が検討され実践的知識が交流された。さらに、(3)対話プロセスから「単元の全体と部分の関係を調整する」「情報を帰納的に整理する」「学習内容と子どもの活動状況を想定する」など単元デザインをモニタリングしている高次の知識を保有していることが確認された。これらの教師の実践的知識の解明は、校内研修をはじめとする教職員研修における指針となり、効果的な研修の構築が可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
データ収集にあたっては、静岡県富士市T小学校の校内研修へ通年を通して参加し、事前における教師の共同による単元デザイン作成プロセス及び授業研究実施後の事後研修におけるグループ研修の発話を記録し教師の実践的知識の分析を行った。それらの成果を学会で発表するとともに、論文としてまとめ公表した。公表した論文は以下の通りである。・『パフォーマンス評価を位置づけた校内研修の意義と効果の検討-ルーブリック作成過程の対話分析と研修評価の視点から-』静岡大学教育学部附属教育実践総合センター紀要,第20号,2012.3,pp.231-244,石上靖芳,小笠原忠幸,三上聡 他・『事前研修における実践的知識の表出過程の分析とその効果に関する検討- 小学校社会科単元デザインの作成過程に焦点を当てて -』静岡大学教育学部附属教育実践総合センター紀要,第20号,2012.3,pp.345-354,平松祐,石上靖芳・『授業研究事後検討会の効果に関する検討-F市立T小学校の校内研修を対象として-』静岡大学教育学部附属教育実践総合センター紀要,第20号,2012.3,pp.245-254,小笠原忠幸,石上靖芳,三上聡・『単元デザイン作成過程から表出・創造される教師の実践的知識に関する検討-小学校社会科における事前検討会の分析から-』静岡大学教育学部附属教育実践総合センター紀要,第20号,2012.3,pp.255-263,三上聡,石上靖芳,小笠原忠幸 以上のことから研究は進展しており、研究の目的を達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を踏まえ、さらに、研究を推進する上で以下の方策で実施したい。(1) 小学校社会科における違う単元や領域に関する単元デザイン作成過程において活用される実践的知識のデータを収集し、分析を通して一般化と知識の整理を行う。(2) 授業研究事後検討会における実践的知識の解明と、教師の学習過程について検討していく必要がある。 以上の2点を念頭に研究を推進していく必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下の通り、研究費の使用を計画している。物品費:収集したデータを解析するてめのノートパソコン、解析するための統計処理ソフト、教師教育、実践的知識に関する専門書旅費:情報収集及び研究成果発表旅費、謝金:データ入力・整理のための謝金、その他:通信費 以上が必要である。
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