2011 Fiscal Year Research-status Report
専門家に過度に依存しない特別支援教育推進のシステム構築に関する実証的研究
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23531272
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
二宮 信一 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80382555)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 特別支援教育 / インクルージョン / へき地 / CBR / 地域連携 / 実践共同体 / ソーシャルキャピタル / 活動理論 |
Research Abstract |
地域の実情を踏まえた「多様な特別支援教育のシステム」の構築に向けて、地域の実務者と協働して以下の取り組みを行った。1、地域分析、既存の関係組織の調査領域として羅臼町、標津町の地域分析、関係機関調査を行い、早期対応についての地域ネットワーク形成の可能性について仮説を立案した。2、既存資源の再資源化、実践共同体の組織化領域として標津町の保護者の文化サークルに「子育て支援」の枠組みを加え再デザイン化図った。また、障害のある子どもを育てている保護者が中心となっているグループを支援し、「地域の子育て機能」の向上を図った。また、下関市豊浦地区における先行事例報告を受け、地域の組織化に関する理論構築を行った。平成24年度に予定していた別海町における取り組みに対しても前倒しで行い、別海町西春別駅前地区における幼―小連携の枠組みを作り、平成24年度に実施に移せる状況とした。3、ネットワーク化による新たな資源創出領域として羅臼町教育委員会及び保健福祉部との連携を強化し、「羅臼町支援教育プロジェクト会議」を立ち上げ、独自の「個別の支援計画」を作成し、活用する段取りをつけた。4、地域と学校の相互依存関係の構築と評価領域として羅臼小学校及び標津町川北小学校の校内研修を行った。また、その他として下関市豊浦地区の調査では、保護者及び事務局の小学校教員に聞き取り調査を行い、活動の視察を行った。長崎県の離島の調査では、五島市を訪問し、特別支援学校分教室について教育委員会への聞き取り調査を行うとともに、早期療育の関係機関の視察を行った。研究協力者の調整会議を行い、羅臼、標津、別海における特別支援教育推進の戦略を練り、情報交換を行った。日本LD学会にて自主シンポジウムを行い、「社会資源の少ない地域における実践共同体創出の試み~特別支援教育に関わる資源の創出と再デザイン化~」として、その得られた成果を発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、羅臼町、標津町を先行させて、別海町を一年遅れで修正しつつ行う予定であったが、別海町のターゲットとした地域の保育士、幼稚園教諭、学校教員の協力のもと、幼小連携の枠組みをつくることができ、平成24年度に本格的に実施に移せるところまできた。羅臼町では、実践共同体を平成24年度に立ち上げる予定であったが、教育委員会のリーダーシップにより、「羅臼町支援教育プロジェクト会議」が立ち上がり、具体的に動き始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
羅臼町においては、新たな資源である「プロジェクト会議」が実際に機能するように既存の関係機関が円滑につながるよう再デザイン化を図り支援すること、標津町においては、保護者のサークルの実践を支援すること、別海町においては、保育園・幼稚園を支援し、小学校への年間を通した引継ぎができるよう支援するという3点に重点を置きつつ、3町の教員等への研修、地域への啓発活動を行い、地域ネットワークを地域住民に広げ、地域の方々が参画するきっかけをつくる。また、進捗状況を確認し、方策を練るための研究協力者調整会議を行う。また、下関市豊浦地区の活動状況を継続調査するとともに、十勝管内幕別町における地域住民主体で行政が協力する形で活動している「おかゆの会」及び網走管内津別町における学校と保護者の協力によるNPO法人「手をつなぐ育成会」に着目し、先行事例として調査対象とし、視察する。得られた成果について、「日本社会教育学会釧路大会」のラウンドテーブルにて報告する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として試行授業のための教材消耗品(5万×3地区=15万)印刷用紙2万、関係図書2万を計上する。小計190,000円。旅費として下関調査15万、羅臼等助言10万5千、十勝調査2万、網走調査2万、調整会議8万を計上する。小計375,000円。人件費・謝金として資料整理補助1万を計上する。小計10,000円その他として調整会議会場借り上げ料2万5千を計上する。小計25,000円。合計600,000円
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