2013 Fiscal Year Annual Research Report
専門家に過度に依存しない特別支援教育推進のシステム構築に関する実証的研究
Project/Area Number |
23531272
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
二宮 信一 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80382555)
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Keywords | 地域型インクルーシブ教育 / 特別支援教育 / へき地 / 社会資源 / 実践共同体 / 専門家の役割 / 触媒的支援 / 溶暗的支援 |
Research Abstract |
羅臼町においては、羅臼版個別の教育支援計画「こんぱす」を発案し、保健福祉と教育の共同で、現場のスタッフが作り上げていくプロセスの中で、保健師、学校教員等の関係者を繋げて行き、かつ、その運用にあたって定期的に協議する場「こんぱす運用委員会」を設置し、強固なネットワークを作り上げることができた。標津町においては、障害のある子どもを育てる親たちの茶話会であった集まりを、「サロンときわ」として再デザイン化し、「障害のある子どもとそのきょうだいのためのキャンプ」の実施や町長、町議などとの懇談会などを開催する団体にまで成長し、これまで地域にはなかった新たな資源となっていった。その保護者のエンパワーメントを支えることができた。別海町においては、西春別駅前地区において保・幼ー小との年間に渡る連携、引き継ぎシステムを作り上げ、それをモデルに、別海中央地区においても保・幼ー小の引き継ぎシステムを作った。それを全町のシステムとなるよう他の地域にも広げていく試みを継続している。 このような活動の展開により、内発的に発展していける地域に変わっていくことができる可能性を見出すことができた。可能であった条件として、ソーシャルキャピタルと地域文化の観点からの地域分析、教員の地域に接近する戦略の構築、フォーマル・インフォーマルの関係性の創出、実践共同体の創出と集団的活動理論によるシステム構築などがあげられ、専門家の新たな役割として、地域の人と人、組織と組織をつなげていく「触媒的支援」と支援することによって支援が必要となくなるための支援「溶暗的支援」ということが示された。また、インクルージョンとCBRがそのベースとなる考え方であった。 また、地域により社会資源やリソースの違いなどがあることから、その地域に見合ったシステムの構築が必要であり、「地域型インクルーシブ教育」を考えていかなければならないことが示された。
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