2013 Fiscal Year Annual Research Report
自閉性障害児・者のための音声による感情理解学習プログラムの開発
Project/Area Number |
23531296
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
若松 昭彦 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70230919)
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Keywords | 音声理解 / 学習プログラム / 自閉性障害 |
Research Abstract |
自閉性障害児・者は、他者の表情理解のみならず、音声からの他者感情の理解にも困難を有しており、そのための効果的な学習方法の開発も必要であると考えられる。ところが、彼らを対象にして音声からの感情推測能力の評価を行った実験的な研究はいくつか報告されているものの、音声理解の指導を実際に行った研究は少なく、標準的な学習教材も見当たらないのが実状である。そこで、本研究は、音声の学習プログラムを試作し、実際に自閉性障害児・者に対して実施しながら改良を加えていくことによって、教育や福祉の現場などでの実践に役立つ音声学習ソフトを作成することを目的とした。 3年間の研究期間の初年度である平成23年度には、学習プログラムに用いる音声刺激とテスト刺激を作成した。その際には、大学生による評定作業に用いる、音声刺激提示・記録用プログラムを、研究代表者がプログラミング言語を用いて作成した。また、平成24年度には、音声学習プログラム用のヒントを作成し、前年度に作成した学習プログラム用の音声刺激(1レベル10個×10レベル、計100個)、テスト用の音声刺激(計20個)と併せて、表情理解学習プログラムの開発を委託しているソフトウェア企業にプログラム作成を依頼した。そして、平成25年度は、ソフトウェア企業の技術者も解決に苦労するような、近年急速に進んでいるパソコンOSやハード・ソフトウェアの変化に対応するための、様々なプログラム改修作業に多くの手間を要した。しかしながら、こうした度重なる改修の結果、学習プログラムは、実際の試行を行うことができる水準に到達した。そこで、平成26年1月に、自閉性障害や知的障害の成人計4名に対して試行を行った。その結果、一般的なタブレット端末に広く対応するための動画ファイル容量の圧縮などの改修は今後必要なものの、ほぼ実用化レベルに近い学習プログラムを作成することができたと考えられた。
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