2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540040
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
星野 光男 筑波大学, 数理物質系, 講師 (90181495)
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Keywords | アウスランダー・ゴレンシュタイン環 |
Research Abstract |
任意に与えられたアウスランダー・ゴレンシュタイン局所環に対して、そのフロベニウス拡大環として新しいアウスランダー・ゴレンシュタイン局所環を組織的に構成する方法を与えた。具体的には、有限巡回群の群環に一種の接合積(正確には少し異なる)を定義することによってフロベニウス拡大環を構成する方法を与え、ある設定の下で、構成したフロベニウス拡大環がアウスランダー・ゴレンシュタイン局所環であることと基礎環がアウスランダー・ゴレンシュタイン局所環であることとが同値であることを示した。例えば、良く知られたフロベニウス拡大である上三角行列環等では、一般に非同型な直交冪等元の個数が増える。また、有限群の群環の場合には基礎環と森田同値になることもある。この意味で、基礎環が局所環なら拡大環が常に局所環になると云う事実は重要である。 上で与えた構成方法は、群環に一種の接合積を定義すると云うより、むしろ有限群を添字集合に持つ次数環の構成とみるべきである。そこで、任意の有限群を添字集合に持つ次数環に対して、それが単位元を次数に持つ部分環のフロベニウス拡大環になるための必要十分条件を与えた。そのために、有限群を添字集合に持つ双次数環の概念を導入した。それは有限群を添字集合に持つ行列環であって、かつ、その群が右から作用してある条件をみたすものである。有限群を添字集合に持つ次数環から出発して双次数環を構成する方法を与えたが、その双次数環はもとの次数環のフロベニウス拡大環であり、群の作用の下での固定部分環としてもとの次数環を含む。更に、有限群を添字集合に持つ次数環の同型類と双次数環の同型類とが一対一に対応することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究目標をほぼ完全に達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者・連携研究者の各々が独自の立場からの研究を行い、研究代表者はそれらを統括する。研究代表者の星野が日本学術振興会の特別研究員(DC2)として受け入れている古賀(現在2年目)との間で毎週開催する研究セミナーに、連携研究者の西田を始めとして、関連する分野の研究者(大学院生を含む)を適宜呼んで、セミナーでの講演を依頼するとともに、こちらからも先方の研究セミナーに出向いて講演を行う等、研究打ち合わせを綿密に行い、専門的知識・最新情報の提供を受ける。さらに、国内外の研究集会に積極的に参加し、成果発表・情報収集を行い、関連分野の研究者との研究討論を活発に行う。また、得られた結果は随時学術誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額として計上している残額は、既に出張旅費として研究実施しているが支払いが4月となったために生じたものである。これ以外の次年度の研究費の主な使用計画は下記の通りである。 他機関に属する研究者を当機関に招聘し、またこちらから他機関を訪問して、他の研究者と研究打ち合わせを綿密に行う。さらに、国内外の研究集会に積極的に参加し、成果発表・情報収集を行うための旅費に使用する。そのため、次年度は研究費として旅費を重視する。
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