2012 Fiscal Year Research-status Report
無限領域における波動問題に対する有限要素法に関する研究とソフトウェア開発
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23540127
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小山 大介 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (60251708)
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Keywords | 領域分割法 / シュワルツ法 / 有限要素法 / ヘルムホルツ方程式 / 多重散乱問題 / ベッセル関数 |
Research Abstract |
本申請者は,平成24年度に,多重散乱問題に対するシュワルツ法の開発に関する基礎研究として,円の外でのヘルムホルツ外部問題に対する重なりの無い領域分割に基づく最適化シュワルツ法の研究を行い,その最適パラメータを求める方法を発見した.さらに,実際に数値計算を行い,この最適パラメータの有効性を調べた.その結果,ヘルムホルツ外部問題の解がある有限個の低周波モードのみを均等に含んでいるという特別な場合には,その最適パラメータを用いるとシュワルツ法の収束までにかかる反復回数が最も少なく,最適パラメータの有効性を確認することができた.一方で,一般の場合には,その最適パラメータを用いてもその反復回数は最小になるというわけではなく,最適パラメータの有効性は確認されなかった.最適化シュワルツ法は今までヘルムホルツ内部問題に対してのみ考察され,有効であると言われてきたが,本研究の結果,少なくとも外部問題に対しては,有効ではないということが分かった.このことには意義があると考える. 最適パラメータを求める方法を確立したことに関しては,学術的には価値があると考える.その方法を確立するために,Hankel関数と変形Bessel関数の対数微分に関するいくつかの性質を新たに証明したことにも意義があると考える. また,本研究の過程において,重なりの有る領域分割を用いた最適化シュワルツ法が有効ではないかという感触を得たことも意義深いと考える.今後はこの研究を行っていきたいと考えている.前述の特殊関数の性質を明らかにしたことはこの研究においても役立つと思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
多重散乱問題に対するシュワルツ法の収束加速に関する研究を行うことが目標であったが,【研究実績の概要】で述べたように,散乱体が一つの円の場合に対して最適化シュワルツ法の最適パラメータを求める方法を発見したものの,実際の問題に対しては,この研究成果はあまり役に立たないものであり,別の加速法を検討しなければならなくなった.また,上述の最適パラメータを求める方法を確立するために必要な数学証明にも予想以上に時間がかかってしまった.以上の理由により研究の達成度に遅れが生じてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
重なりの無い領域分割に基づく最適化シュワルツ法が,当初の予想に反し,有効な方法ではなかったので,最終年度(平成25年度)は,重なりの有る領域分割に基づく最適化シュワルツ法の研究を行う.また,弾性波の外部問題に対するDtN有限要素法の事前誤差評価も行い,DtN有限要素法のMATLABによるソフトウェアの開発も行うことを目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は,研究成果発表が1回のみとなり,当初の見込みよりも,旅費使用料が少なくなったが,平成25年度は,本研究期間の最終年度なので,これまでの研究成果を国内外で発表するために,研究費を主に旅費として使用する予定である.
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Research Products
(3 results)