2011 Fiscal Year Research-status Report
H5N1インフルエンザ病態モデルの開発と流行伝播シミュレーションへの応用
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23540156
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
安田 英典 城西大学, 理学部, 教授 (30406368)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 新型インフルエンザ / H5N1 / 遅延微分方程式 / 数理モデル / 数値シミュレーション / 浅水波方程式 / 2相流 |
Research Abstract |
新型インフルエンザH5N1の体内感染に関する定量的(エビデンスベース)な研究は治療法開発の支援ために有用である.しかしながら,in vivoで測定できるデータは限られており多くのデータはin vitroで測定される.数理モデルと計算機シミュレーション,すなわちin silicoの研究はin vitroのデータも取り込んで体内感染の病理を解明するために有効な手段である.本年度の主な成果は以下の通り(1)H5N1のwithin-host modelを開発した.(2)臨床医学の文献をサーベイし,モデルのパラメータを決定した.(3)within-hostモデルによるH5N1の病理シミュレーションを開始した.開発したH5N1のwithin-host modelはウィルスダイナミックス方程式系と免疫応答の方程式系からなる遅延微分方程式系である.インフルエンザ感染では潜伏期などの時間遅れが重要な役割を果たす.本モデルでタイムラグ項によって時間遅れを直接モデル化している.次に,臨床医学の文献のサーベイを行い,文献値をベースにモデルのパラメータを決定した.さらに,モデルを用いた数値シミュレーションを行い,H5N1固有の病理についての検討に着手した.しかしながら,数理モデルは実際の現象すべてをモデル化することはできない.現象の本質を検討するために,別途,2相流浅水波方程式を変形したメタファーモデルによる検討を行っている.本年度は,大域的なパターンを生成するポテンシャルを方程式系に導入し,微分積分方程式系の数値解法を開発した.メタファーモデルで開発した計算手法は実モデルとしては非相溶2相流のマイクロ相分離計算に応用した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H5N1のwithin-hostモデルを開発し,モデルパラメータを決定した.モデルを用いたH5N1の病理シミュレーションを開始した(論文投稿準備中).メタファーモデルの精緻化に進展があった(論文1報).
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Strategy for Future Research Activity |
(1)臨床医学の分野で報告されているH5N1特有の肺の劇症細胞損傷等の病理に関するシミュレーションを実施する.計算結果と臨床データの対比によるモデルの校正を行う.(2)開発したモデルを用いて抗ウィルス剤の効果の評価などを行い治療法開発の支援を行う.(3)また,大都市の人々を個別に計算する流行伝搬モデルとの連成のために,within-hostモデルの遅延微分方程式系の数値解法の高速化を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費(海外旅費,国内旅費),計算機環境の改善等を予定している.
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