2012 Fiscal Year Research-status Report
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23540177
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
伊藤 栄明 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 名誉教授 (60000212)
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Keywords | 確率論 |
Research Abstract |
多次元ランダムパッキングの解析的研究は非常に困難であることが知られているが、極端に単純化された確率モデルについて解析的に研究することにより、もとの多次元ランダムパッキングの解析的研究の糸口をつかもうとするものである。 解析的接近が可能であるように問題を単純化した離散的なモデルを考え、空間の次元との関連で充填率を考える。より具体的には次の問題を考えた。 辺の長さ1である格子を考え、格子点の上にcubeの頂点を置く、離散的な向きをそろえたランダムパッキングを考える。辺の長さmのcubeを辺のながさ2mのcubeに向きをそろえてランダムにつめてゆくというもっとも単純な離散的ランダムパッキングを考える。さらに片隅充填志向という条件をいれると空間の次元dとの関連で充填率の期待値の漸化式が得られる。この漸化式に基づいて充填率をm および次元dについてのの漸近的挙動を調べた。この問題の解決には古典的な解析学における様々な深い性質を用いる必要があるが台湾の統計科学研究所のProf Hsien-Kuei Hwang の協力によりもとめることができ投稿準備中である。 これに関連しBoston University のProf Paul Krapivsky と共著でContinuum cascade modelfor directed random graph を考え漸化式をもとめtraveling wave analysisにより漸近挙動をもとめた(Journal of Physics A Math. Theor. 45)。この問題にはBranching random walk におけるMartingale法を適用できるという助言がStanford 大学のProf Amir Dembo よりあり論文作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次元が十分に大であればcube のcubeへのランダムパッキングの充填率とcubeのtorusへのランダムパッキングの充填率は漸近的に等しくなると考えている。この予想につい計算機実験を行い境界条件の違いの効果が次元がおおきくなるととも弱くなってゆくという現象を観察し解析的研究へのヒントが得られたが、証明はできていない。 立方体の立方体への確率逐次充填について片隅充填志向という条件をいれると空間の次元dとの関連で充填率の期待値の漸化式が得られる。この漸化式に基づいて充填率の次元dとの関連での漸近的挙動を調べ結果が得られ、数ヶ月中に投稿する予定である。 トーラスへの確率逐次充填についてもこの考えの適用をこころみている。 副産物としてとしてContinuum cascade modelfor directed random graph について論文 を発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
可能なかぎり問題を単純化し解析的方法により問題を解決するという方向での研究をさらにすすめてゆく。協力して研究をすすめている国外の研究者との交流を活発におこない議論をふかめてゆきたい。 立方体の立方体への片隅志向充填については漸化式がえられた。立方体のトーラスへの確率充填の問題は漸化式がえられるような自然な単純化をさらにこころみる。 結晶構造、符号理論等のより具体的な問題との関連も考えながら研究をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
内訳 物品費 111,665 円 旅費 1,000, 000 円 人件費・謝金 100,000 円 その他 100,000 円 ということで国外の研究者との研究交流に重点をおき研究を行う。
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Research Products
(5 results)