2011 Fiscal Year Research-status Report
2次特性的双曲型作用素とハミルトン写像およびハミルトン流
Project/Area Number |
23540199
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西谷 達雄 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80127117)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | ハミルトン写像 / スペクトル構造 / 初期値問題 / 適切生 / 実効果的双曲型 / 零陪特性帯 |
Research Abstract |
非実効果的双曲型作用素について,2次特性多様体が3次元の場合に限って,ハミルトン写像のスペクトル構造が余次元1の部分多様体で変化する場合を研究した.この場合,部分多様体に接しながら近づいていく零陪特性帯が存在しなければ,いわゆる狭義 Ivrii-Petkov-Hormander 条件の下で,初期値問題が適切であることを示した.この結果は,2011年9月にイタリアのBertinoroで開催された国際研究集会「Perspectives in Phase Space Analysis on PDE's」で発表した.また,2次特性多様体に接しながら近づく零陪特性帯で,スペクトル構造が変化する部分多様体には横断的であるものが存在するにもかかわらず,初期値問題が適切となるクラスが実際に存在することも示した.これは,スペクトル構造が一定である場合からは予想できない結果である.ハミルトン写像のスペクトル構造が一定な,非実効果的双曲型作用素で,2次特性多様体に接しながら近づく零陪特性帯が存在しない場合に,有限伝播波面集合の超局所パラメトリックスの概念を導入し,初期値問題が適切であることを示した.この結果を2011年11月に高知で開催された研究集会「古典解析と超局所解析」で発表した.2011年4月~6月にイタリアのピサを訪れ,F.Colombini, N.Orru, L.Pernazza 氏と共同で2階2独立変数の双曲型作用素に対する初期値問題を研究し,従来の結果より弱い仮定の下で初期値問題が適切となることを示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非実効果的双曲型作用素で2次特性多様体が3次元かつハミルトン写像のスペクトル構造が余次元1の部分多様体 上で変化する場合に限るが,ハミルトン流の軌道の挙動と初期値問題の適切生との関係を明らかにする,という本研究の目的を遂行することができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
ハミルトン写像のスペクトル構造が余次元1の部分多様体上で変化する場合は,常に非実効果的,常に実効果的 および実効果的から非実効果的に変化する,という3つの場合が起こりうる.最初の場合は,初年度の研究で ハミルトン流の軌道の挙動と初期値問題の適切生との関係を明らかにすることができたが,残りの2つ場合が未解決である.従ってこの未解決の場合を研究し,ハミルトン流の軌道の挙動と初期値問題の適切性との間の関係を明らかにする.さらに2次特性多様体の次元が3次元以上の一般の場合を考察する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内の WKB 解析グループとの情報交換のための旅費および2012年6月にフィンランドで開催される国際研究集会「Fourier Analysis and Pseudo-Differential Operators」に参加するための旅費を予定している.また,情報交換や研究連絡に不可欠な小型のノートパソコンの購入も予定している.
|
Research Products
(5 results)