2014 Fiscal Year Annual Research Report
正則分岐被覆構造のモジュライ・パラメーターに対する複素幾何学的研究
Project/Area Number |
23540202
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
谷口 雅彦 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (50108974)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 複素解析学 / 正則分岐被覆 / モジュライ・パラメーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において最大の目標であった有理関数の力学系的モジュライ空間のコンパクト化理論の完成については、すでにその概要を公表していたが、複素解析と等角幾何学に関する国際集会の Proceedings にその成果をまとめた査読付き論文として投稿し受理された。2015 年中に公刊される予定である。 この目標と関連して、有用なモジュライ・パラメーターの導入と具体的解析がもうひとつの主目標であったが、昨年度までの研究で非調和比関数族による大域的モジュライ・パラメーターの構成問題が無限次元の場合に一定の成果を得たので、さらに有限次元の場合にも、より精緻な解析を行った。特に、縮小相似変換族の反復合成力学系の変形空間に対して、非調和比関数族による大域的モジュライ・パラメーターが導入できることを示し、その座標を用いた具体的な解析を行った。 すでに昨年度末までに、奈良女子大学大学院生の山本君代氏と共同研究により有限生成メビウス群の場合には十分な成果を得ることができていたが、本年度にはさらにメビウス群と双璧をなす反復合成系に対し同様の成果を得ることができた。具体的には、連携研究者の藤村雅代氏(防衛大学校)らと共同で、反復関数系の変形空間に対して同様の大域的モジュライ・パラメーターとしての非調和比座標を用いた解析を遂行し、フラクタル幾何学における基本対象である dust-likeness locus に対し、基本性質の具体的解明を行って顕著な成果を得た。それらの成果は、国際的な専門誌として今年度に創刊された Journal of Fractal Geometry の第一巻に査読付き論文として受理され2014年の年末に公刊された。 以上から、本課題研究は満足できる数多くの成果を得て、成功裡に終了できたと考える。
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Research Products
(2 results)