2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540234
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鷲見 直哉 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (50301411)
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Keywords | 解析学 / 力学系 / エルゴード理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は,軌道同士の振舞いに関する局所的な条件から,軌道の存在確率密度に関する次の大域的な性質(1)と(2)を導くことである:(1) すべての軌道の存在確率密度が決まるならば,この存在確率密度は一意的に決まる.(2) 有限時間での軌道の存在確率密度と,無限に時間が経過した軌道の存在確率密度との差は,エントロピーとポテンシャルという2つの値を用いて具体的に表示できる.特に本研究では,互いに異なる軌道の組に対して,一方の軌道の近くから他方の軌道の近くに移動する別の軌道がある,という局所的条件のみから上の性質(1)と(2)を導くことを目的とする. (1)について平成24年度は,相空間の次元が低い場合の計算に取りかかった.その結果,4次元以下のエネルギー保存系の場合と,3次元以下のエネルギー散逸系の場合に,上記の局所的条件のもとで存在確率密度が一意的に決まることを証明できた.この結果は,インドで開催された国際研究集会で発表し,その内容を論文として投稿準備中である. (2)については,Hu-Young の例を含むような力学系のクラスを扱った.具体的には,支配的分解をもつ微分同相写像による力学系に対して,無限に時間が経過した軌道上でのポテンシャルの平均値が,特定の値をもつような初期点全体の集合を考える.このとき,そのような集合の大きさをエントロピーとポテンシャルを用いて評価することができた.この結果も論文として投稿準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り,平成24年度での研究目標としていたエネルギー保存系について,相空間の次元が低い場合ではあるが,本研究課題に関する結果が得られたため,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べた局所的条件から,大域的性質(1)と(2)を導くことを次年度の目標とする.(1)については,次元の大きな相空間もつ力学系に対して,存在確率密度の一意性を示す.(2)については,支配的分解をもつ力学系に対して,有限時間での軌道の存在確率密度と,無限に時間が経過した軌道の存在確率密度との差を評価する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は,次元の大きな相空間をもつエネルギー保存系の研究に着手しなかったため,予算の繰り越しが生じた.次年度は,まずこれらの研究から着手する. 連携研究者・平山至大氏(九州工大),守安一峰氏(徳島大),並びに,存在確率密度の時間変化の速さに関する専門家である研究協力者・鄭容武氏(広島大)らと,年に数回お互いに行き来し研究打ち合わせを行う.さらに研究協力者・Pesin 氏(The Pennsylvania State University) と研究連絡を行い,得られた結果は関連分野の研究集会で発表する. また,本研究に必要な多様体上のエルゴード理論に関する書籍等の文献,並びに,文房具等の必要な消耗品を購入する.
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Research Products
(4 results)