2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540234
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鷲見 直哉 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (50301411)
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Keywords | 解析学 / 力学系 / エルゴード理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は,軌道同士の振舞いに関する局所的な条件から,軌道の存在確率密度に関する次の大域的な性質(1)と(2)を導くことである:(1) すべての軌道の存在確率密度が決まるならば,この存在確率密度は一意的に決まる.(2) 有限時間での軌道の存在確率密度と,無限に時間が経過した軌道の存在確率密度との差は,エントロピーとポテンシャルという2つの値を用いて具体的に表示できる.特に本研究では,互いに異なる軌道の組に対して,一方の軌道の近くから他方の軌道の近くに移動する別の軌道がある,という局所的条件のみから上の性質(1)と(2)を導くことを目的とする. (1)について平成25年度は,これまでに得た定理を体積保存系の具体例に応用した.具体的には,Anosov系から導かれるある部分双曲型写像の例に対して、存在確率密度が一意的に決まることを証明した. (2)については,昨年度に引き続き Hu-Young の例を含むような力学系のクラスを扱った.具体的には,支配的分解をもつ微分同相写像による力学系に対して,有限時間での軌道の存在確率密度と,無限に時間が経過した軌道の存在確率密度との差は,エントロピーとポテンシャルという2つの値を用いて上から評価できることを証明した.この結果は論文として投稿準備中である. 更に,上記の局所的条件を持つ力学系の特徴付けを目標として,測度論的拡大性を持つ力学系を扱った.特に,全ての非アトミックな不変測度が測度論的拡大性を持ち,系に摂動を加えてもその性質が保たれるならば、このような力学系は公理Aを満たすことを示した.この論文は既に掲載が決定している.
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Research Products
(4 results)