2011 Fiscal Year Research-status Report
オンライン低温核偏極法による中性子過剰二重魔法数核の核構造研究
Project/Area Number |
23540337
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大坪 隆 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70262425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 豪 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 講師 (90249904)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 不安定核 / 電磁気モーメント / 原子核偏極 |
Research Abstract |
本研究では中性子過剰の48Ca近傍での原子核の電磁気構造を調べるため、これらの電磁気モーメントをオンライン低温核偏極法で測定することを目的とする。現在この研究が可能なのはCERN研究所ISOLDE施設のオンライン低温核偏極装置NICOLEが唯一であり、我々はOxford大、Tennessee大、Leuven大等との国際共同研究グループを作り不安定核の電磁気モーメント測定を進めている。本年度は主にNICOLEで発生した真空トラブルのため、主に修復のため原因調査を行ってきた。新潟大学にもある低温核偏極装置と異なりNICOLEでは短寿命核の測定を可能とするため不安定核分離装置ISOLDEと真空系で接続されており、生成した不安定核をオンラインで10mKの超低温下で注入できるようになっている。このため真空接続系の構造が複雑であり、また真空テスト用の冶具等の製作が必要となった。こんため原因調査のための渡航が9月及び12月の二度になった。結果としてはトラブル原因の概要は判明したが詳細な発生箇所の特定には至らず、引き続き24年度にも調査修理を行う。このような状況のため今年度はビームを用いた実験は行っていないが、これまでの実験データについては解析をすすめており、49Scについては偏極生成及び磁気モーメント測定について取りまとめの段階になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で使用するCERN研究所ISOLDE施設の低温核偏極装置NICOLEについて真空トラブルのため現在修復中である。平成23年度はこの修復調査のため9月及び12月に大坪及び武藤が現地に滞在した。NICOLE装置は通常の核偏極装置と異なり加速器施設に真空ラインで接続しており、装置分解及びテストのために新たに真空フランジを作成する必要があっり、9月の状況確認の後、12月に再度テストを行った。これらの作業の結果、トラブルの状況は確認できたが、問題部位に確定まではいたらず、引き続き24年度も修復作業を続ける。データ及び制御システムの開発については、NMR用周波数シンセサイザを制御するためのシステムの開発を始めている。研究に関しては、これまでにNICOLEで行ったSc同位体のFe中での共鳴実験の解析を進めており、取りまとめ次第、成果発表を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
先に述べたとおり、現在NICOLEがトラブルのため、本年度はNICOLEシステムの修復に集中する。24年5月に修復のための滞在を予定している。また修復後の実験のため、データ及び制御システムの開発を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度はNICOLEシステムの修復のため、CERN研究所の滞在が複数回にわたると予想される。このため、滞在のための旅費の割合が高くなる予定である。また、23年度購入予定であったNMR用周波数シンセサイザについては納入は年度内に行われたが年度末だったため、支払い手続きは次年度に行われる予定である。
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