2012 Fiscal Year Research-status Report
周期的応力変化がアスペリティ破壊に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
23540492
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 尚之 東京大学, 地震研究所, 教授 (60224523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴岡 弘 東京大学, 地震研究所, 准教授 (10280562)
五十嵐 俊博 東京大学, 地震研究所, 助教 (10334286)
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Keywords | 地震活動 / アスペリティ / 潮汐 / 数値シミュレーション / 摩擦特性 |
Research Abstract |
地球潮汐による応力変化が,低周波地震・微動および相似地震に対してどのような影響を与えるかについて,解析手法を変えて調査を実施した.前年度においてコンパイルした二つのデータセットに対して,地殻の臨界状態を示すとされているLURR解析を行った.LURR解析は,Load/Unload Response Ratioの略であり,地球潮汐による応力変化が地震の発生を加速するフェーズと抑制するフェーズとの比をとることにより,地殻の臨界状態のインデックスとして使用される.もし,地殻が臨界状態に近づくとこの比(F値)が1より大きくなるという性質を用いる.低周波地震・微動に対する1年時間幅のF値の時間変化は,1.5を超えることはなくLURR解析においては,地震活動と地球潮汐に明瞭な相関は得られなかった.同様に相似地震においては,マグニチュード4以上の地震を選択することにより,2009年に発生した相似地震のF値は2.5を超えたが,多くは1前後の値をとり,地殻の臨界状態とはいえないという結果となった.前年度に実施した潮汐位相による解析に比べて,LURR解析におけるF値は,相関がでにくい指標であるかもしれない. 前年度に引き続き,断層面にはたらく摩擦が速度・状態依存則に従うと仮定し,断層面上にアスペリティ領域を設定した上で,周期的な応力変化をあたえてアスペリティ破壊の数値シミュレーションを行い,アスペリティ破壊の位相選択性をシュスターの検定により調べた.前年度までに,法線応力や特徴的すべり量依存性が周期的応力依存性に影響することがわかったが,これらが同じであっても,応力変化の周期と前駆すべり継続時間の関係が周期的応力依存性に影響することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地震活動解析については,予定していたLURR解析を行い,おおむね順調に進展している.3次元弾性体中の平面断層でのアスペリティ破壊の周期的応力依存性を調べるためのシミュレーション研究については,パラメタ―依存性の解析事例数がやや少なく,明確な依存性を整理しきれていない.
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Strategy for Future Research Activity |
地震活動解析については,複数の地震カタログについて潮汐位相解析とLURR解析を行い,両者を比較することにより地震先行現象の検出により有効な方法について検討する.また,解析対象とする地震を領域や時期でわけて,より詳細な解析を行う.シミュレーション研究に関しては,やや遅れているパラメター依存性の研究を加速させるほか,観測事実と組み合わせて,地球内部での摩擦特性に関する理解を深める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究遂行のための消耗品,研究成果発表のための学会出席旅費,等.
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