2013 Fiscal Year Annual Research Report
周期的応力変化がアスペリティ破壊に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
23540492
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 尚之 東京大学, 地震研究所, 教授 (60224523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴岡 弘 東京大学, 地震研究所, 准教授 (10280562)
五十嵐 俊博 東京大学, 地震研究所, 助教 (10334286)
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Keywords | 地震活動 / アスペリティ / 潮汐 / 数値シミュレーション / 摩擦特性 |
Research Abstract |
地球潮汐による応力変化が,低周波地震および相似地震に対してどのような影響を与えるかについて,潮汐位相の位相選択性に基づくシュスターの検定と地殻の臨界状態を示すとされるLoad/Unload Response Ratio (LURR)の二つの解析を行った.データセットは,気象庁一元化震源における低周波地震・微動と識別された地震約3万個(期間:1997年10月~2012年3月31日まで; データセットA)とIgarashi(2010, GRL)の手法により相似地震と同定された約1万個(データセット B)の二つで,日本領域に発生した地震を対象とした.シュスターの検定によるとデータセットAは,統計的に有意な位相選択性が見いだされた一方で,データセットBについては有意な位相選択性が見られなかった.ただし,データセットBについては,東北地方太平洋沖の地震の前後で位相選択性の特徴が変化している.LURR解析では,データセットA,Bとも有意な相関が得られなかった. 断層面にはたらく摩擦が速度状態依存摩擦則に従うと仮定し,断層面上に円形アスペリティを設定した上で,定常のプレート運動によるせん断応力増加に加え周期的なせん断応力変化を加えてアスペリティ破壊の数値シミュレーションを行った.アスペリティ破壊の周期的応力の位相選択性をシュスターの検定により調べた.断層面にかかる法線応力σn,速度・状態依存摩擦則の特徴的すべり量L,周期的せん断応力変化の振幅Δτを変化させてシミュレーションを行った.アスペリティ破壊の開始点の破壊エネルギーGを応力-すべり量関係から計算し,GはσnLに比例することを確認した.Δτ/Gが大きくなるほど,アスペリティ破壊の位相選択性が顕著になることがわかった.プレート境界の相似地震については,通常時は明瞭な位相選択性はみられない.この結果を利用すると,プレート境界の相似地震の破壊開始点の破壊エネルギーは0.01MJ/m2程度よりも大きいことが推定される.
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