2013 Fiscal Year Annual Research Report
中部山岳域における冬期の降雨発生と積雪構造への影響評価
Project/Area Number |
23540507
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上野 健一 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00260472)
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Keywords | 冬季降水 / 降雨 / 積雪 / 雨雪判別 / 気候変動 |
Research Abstract |
昨年度までの2冬期にわたり4か所の山岳気象観測拠点にて実施した雨雪自動連続観測および菅平高原実験センターにおける集中断面観測の結果を分析し、積雪上への降雨(Rain on snow, ROS)の発現が積雪構造に与える影響を把握した。両年とも最大雪深は例年並みの1m以下であったが、平成24年度の冬の方が低気圧活動は活発で、特に3月からの融雪が顕著で前年に比べ3週間早く消雪した。平成12月の根雪開始から2月下旬までの堆積期は再凍結によりROSイベントが明瞭に積雪内に凍板を形成し、これが3月まで記録された。一方、3月以降の融雪期には積雪は全層濡れザラメとなり、その時のROSは凍板を形成せず全層の密度増加と流出を促した。特に平成24年度の3月1日に発生したROSは全国的な春一番をもたらし、数日前からの暖気移流に伴う雪温度の昇温と表面アルベドの低下が降雨に伴う全層ザラメ化をもたらした。その後、降雪は発生せず、多頻度の暖気移流を伴うROSの発生により融雪率を加速した。 山崎(1988)の構築した一次元多層積雪モデルを使って、菅平における積雪構造の再現を試みた。降水量データの過小評価を修正することにより、積雪深の季節内変化を再現できた。2013年3月上旬のROSイベントが、積雪全層の濡れ具合や密度を一変する大きなきっかけとなったことが確認された。一方で、ROSに伴う氷層やコシモザラメ雪の発達に関しては再現が不十分となり、液体水の流下に関するモデルの改良が望まれた。
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Research Products
(3 results)