2011 Fiscal Year Research-status Report
大気ブロッキングの形成・持続機構に関する観測的・数値実験的研究
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23540515
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 久徳 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80112100)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | blocking / selective absorption / vortex interaction / barotropic model / synoptic anticyclone / jet stream |
Research Abstract |
持続メカニズムについての研究を行った。極性分離解析は終了し,現在論文の作成段階にある。数値実験的研究においては,順圧モデルでの数値実験を系統的に行った。チャネルモデルでは,一様西風中のモドン解やライダー解をブロッキングの初期条件に取る実験とともに,ジェットの効果を取り入れた実験も行った。また球面モデルでも理想場と現実場の両者で実験した。ジェットや球面はより現実的な方向に拡張したと言えるが,それらにおいては選択的吸収メカニズム(SAM)がより効果的に働くことを発見した。また当初は形成機構の一環と考えていた準定常解を,順圧モデルにおいてではあるが,求めることができた。これらをもとに論文をPart IとIIの2本にまとめて国際誌に投稿し,現在改訂中である。さらに球面モデルを現実的なブロッキング(2010年夏のロシアブロッキング)に適用した研究も行い,これを次の論文として投稿する予定である。傾圧モデルでの実験も予備的に行っている。またSAMとの関係で亜熱帯大気の力学的研究も行い,論文にまとめ投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度計画のうちチャネルモデルによる準線形化実験以外(観測的研究,数値実験的研究のうちの順圧チャネルモデル・順圧球面モデル・傾圧球面モデルによる実験)はすべて当初の計画以上に進展している。特にジェットの役割を評価できたことは現実との対比でたいへん重要な成果である。すなわちジェットは,移動性高気圧の導波管として働き,ベータ・ジャイアによる南遍を阻止し,それをブロッキング周辺に持ってくるという役割を果たすので,SAMにとっての効率をたいへん高めることになる。準定常解を求めたことも当初の想定以上のことである。また当該年度中に論文として3編が投稿できたことも大きな成果である。準線形化実験は当初の想定よりかなり難しいことが確認されたので,今後,研究計画を練り直すことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
・平成24年度の前半に極性分離解析を中心とした観測的研究とロシアブロッキングをSAMの観点から追究した研究を2つの論文としてまとめる。・傾圧球面モデルでの実験を継続し,傾圧的な移動性高気圧が順圧化し,ブロッキングに吸収されることを確かめる。これによってSAMが持続の普遍的メカニズムであることが立証できることになる。・ブロッキングの形成機構の研究に着手する。計画に沿って,データ解析と数値実験の両面から行う。・準線形化実験の研究計画を練り直し,当該年度中に着手できることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として現在投稿中の論文(3論文)の投稿料と新たに書く論文(2論文)の英文校正料としての使用を計画している。また学会旅費としても使用予定である。
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Research Products
(9 results)