2012 Fiscal Year Research-status Report
大気ブロッキングの形成・持続機構に関する観測的・数値実験的研究
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23540515
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 久徳 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80112100)
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Keywords | ブロッキング / 移動性高気圧 / 渦と渦の相互作用 / 選択的吸収 / ジェット気流 |
Research Abstract |
持続メカニズムについての研究を論文2編にまとめて国際誌に投稿し,すでに印刷された。ブロッキング高気圧は移動性高気圧を吸収することによって持続するという選択的吸収メカニズムが国際的に認知されたことを意味し,大きな成果と言える。またこのなかで,形成機構の一環と考えていた準定常解を,順圧モデルにおいてではあるが,求めることができた。中緯度では帯状流のみとなるが,高緯度ではブロッキングが準定常的に存在できる。高緯度はコリオリパラメータの緯度変化が小さいこと,帯状流が弱いことが存在のための条件である。これも重要な成果であり,形成機構の研究に引き継がれることになる。 また大気大循環モデルを用いて,2010年夏のロシアブロッキングに対して高周波擾乱の寄与を見積るための感度実験を行った。上流の低気圧を除くと,持続性が弱化することが確かめられた。傾圧モデルでの結果であり,提案した持続メカニズムの妥当性をより強固にする結果であると言える。来年度を見据えて,形成機構に関わるモデルも作成した。準定常解を求める傾圧モデルである。次年度はすぐにでもこのモデルを運用することができる。 さらにブロッキングに強く関係するテレコネクションの研究も進めた。これまでメカニズムが不明であったが,テレコネクションパターンと移動性高低気圧,ジェット気流の3者の正のフィードバックまたはコンシステントな関係によって長く持続することがわかった。テレコネクションも多くの研究者が研究を進めている第一級の研究課題であり,重要な成果と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
投稿論文2編が受理され印刷された。また具体的なブロッキングの持続についても傾圧モデルを用いて研究を進めている。さらに形成機構に関わるモデルも作成することができた。 テレコネクションの研究が飛躍的に進んだことも高く評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
テレコネクションの研究をまとめ,論文として発表する。2編の論文となる予定である。 形成機構の研究を進め,投稿論文としてまとめる。また具体的なブロッキングの持続(ロシアブロッキング)に関しても論文としてまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文の投稿料,英文校正,学会参加旅費などに使う予定である。
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Research Products
(6 results)