2011 Fiscal Year Research-status Report
複数の卓越方向をもつ背弧域リフト帯の初期形成・埋積過程の復元
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23540529
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
栗田 裕司 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60334645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊島 剛志 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10227655)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 地質構造 / リフト堆積盆地 / 中新世 / 堆積相 / 新潟 / 断層 / 渦鞭毛藻化石 |
Research Abstract |
1 新潟県北部の関川~櫛形地域において,いわゆる新潟方向およびその直交方向の断層が存在する領域の地質調査を行い,次の成果を得た。部分的にはルート間隔100~400m程度の稠密な調査を予察的に実施した。(1) 荒川北岸沿いで見出された東西方向の断層は,分岐は見られず,検討可能な断層岩露頭を3ヶ所で発見した。本断層は分布の東側で基盤の花崗岩と中新世の礫岩の境界をなし,双方に脆性変形を与えている。分布の西側では中新世の礫岩および玄武岩質ハイアロクラスタイトの分布域中を通る。この玄武岩質ハイアロクラスタイトは新たに見出されたもので,分布域は狭いものの,荒川北岸の数箇所で確認されたため,従来同時設定が難しかったこの地域の津川-七谷階の同時間面の設定,ならびに断層の変位量の考察に寄与できる。この東西方向の断層は,堆積盆地発生期だけでなく中新統堆積後も活動したことは確実で,新潟堆積盆地のリフト直交方向の構造セグメントを分かつ断層の一つである可能性がある。(2) 櫛形山地の基盤東縁の断層は,西傾斜の逆断層である可能性が高い。(3) 荒川沿いの基盤-中新統間の不整合面は,きわめて起伏に富む古地形を反映している。これは中新統堆積直前の基盤の速い変位速度を示す可能性がある。(4) 津川-七谷階から渦鞭毛藻化石分析用の泥質岩試料を採取し,予察的分析を行なった。本地域の津川-七谷階の年代は16 Maより大きく遡ることはないと判断される。2 新潟県北部とは異なり,被覆層が厚い中越地域の魚沼層群分布地において,リフト直交方向の地質構造要素の予察的探索に努め,八石~山中背斜周辺でNW-SE方向を示す断層・断層岩を数箇所で見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新潟県北部での詳細な地質図作成が順調に進捗し,断層岩の分布や不整合形態の概要が明らかになった。微化石分析用試料の採取がなされた。
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Strategy for Future Research Activity |
新潟県北部での詳細な地表地質調査および試料採取について,初年度の調査・解析結果を考慮し,密に調査ルートを設定して(ルート間隔500m以下を目安とする)より広域で詳細な地質図を完成させる。比較のため,被覆層が厚い中越地域の魚沼層群分布地において,リフト直交方向の地質構造要素の探索を継続する。調査結果に基づいて,堆積相解析に基づく古環境復元,地質構造解析による運動像の復元,渦鞭毛藻化石層序による年代資料の蓄積を進める。以上の調査・検討で得られた資料に基づいて,古地形,堆積システム分布の時間・空間変遷,地質年代,堆積後の変形史を総合した堆積モデル・地質構造発達史モデルを構築する。これらを古地理図などの形で表現する。これが本研究の主要な成果となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に次年度使用額が生じた状況としては,物品費の支出を抑えたことが影響している。今年度に生じた次年度使用額を平成24年度請求額に繰り入れ,平成24年度には高額の物品(微分干渉顕微鏡用高精度CCDカメラ)の購入に充てる。当該物品は微化石・岩石の微細組織の記録・解析に使用する。その他,物品費・人件費・旅費等に適宜使用する。旅費には海外学会での成果発表も含む。
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