2013 Fiscal Year Annual Research Report
複数の卓越方向をもつ背弧域リフト帯の初期形成・埋積過程の復元
Project/Area Number |
23540529
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
栗田 裕司 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60334645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊島 剛志 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10227655)
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Keywords | 地層 / 石油資源 / 地質構造 / 堆積 / 新第三紀 / 新潟 |
Research Abstract |
本研究では,複数の卓越方向をもち,変形速度が大きいリフト帯の発達初期の形成・埋積過程の復元を目的とし,新潟堆積盆地北部の中新統基底相について,堆積層解析・渦鞭毛藻化石・断層岩解析の手法を用いて,盆地形成過程と,それを同時に埋積する礫質な堆積システムの発達過程の復元を行った。 主要な構造トレンドは,荒川-胎内地域ではE-WおよびNNW-SSWであり,三川地域(津川盆地北西部)ではN-Sが卓越し,副次的にNW-SEが認められる。いずれのトレンドにも堆積盆地形成時の活動の証拠があるため,盆地形成には複数のトレンドが関与しつつ,卓越方向には地域差がある。被覆層の変形を調査した下田丘陵地域では,NNE-SSW方向の主要な褶曲構造に対し,NW-SE方向の規制が認められる。 中新統基底部の堆積システムは,いずれの地域においても扇状地およびファンデルタであり,主要な砕屑物供給経路が地質構造の規制を受けている点で共通する。一方で砕屑物供給においては,荒川-胎内地域ではE-W方向の狭小なグラーベンが,三川地域ではリフト境界断層の末端部が,それぞれ主要な供給口となっている。加えて,三川地域の砕屑岩相の層厚は薄く,荒川-胎内地域の最大層厚部の数分の1にとどまる。これはリフト境界断層の落差=変形速度の違いおよび砕屑物供給速度の違いの反映でもある。 以上のような明瞭な地域差は,堆積盆地形成時の地殻の変形の不均一性の反映であり,また三条地域での調査結果は,この中新世の不均一な変形が,再活動によってさらに新しい時代の被覆層の変形をも規制していることを示唆する。 今後の展望としては,このような陸域のマッピング主体の調査を続けることで,kmスケールの変形の不均一さがより明確になり,さらに平野域~海域の人工地震波探査の解析によってその知見をさらに広域に応用することで,資源探査や防災の面で役立つ。
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Research Products
(9 results)