2012 Fiscal Year Research-status Report
東南極セール・ロンダーネ山地に産するグレンビル造山期深成岩の火成活動史と成因解明
Project/Area Number |
23540534
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
亀井 淳志 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (60379691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柚原 雅樹 福岡大学, 理学部, 助教 (30330898)
小山内 康人 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (80183771)
外田 智千 国立極地研究所, 地圏研究グループ, 准教授 (60370095)
柴田 知之 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40332720)
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Keywords | 変トーナル岩 / 原生代 / セール・ロンダーネ山地 / 南極 / 超大陸形成 / 未成熟島弧 / ソレアイト質花崗岩 / アダカイト |
Research Abstract |
南極セール・ロンダーネ山地に産する原生代変トーナル岩体について,その記載的特徴と形成期の解明を目指した.岩体は4つの山塊(ルンケリッゲン・ワルヌム山・ビーデレー山・ニルスラルセン山)で構成され,昨年度はルンケリッゲン・ワルヌム山の岩石記載・化学分析・年代測定を実施した.ワルヌム山はマイロナイト化した片麻状トーナル岩で構成され,998Maのソレアイト質酸性マグマに由来し,ルンケリッゲンは弱片状トーナル岩で構成され,943Maの高Srカルクアルカリアダカイト質マグマに由来することを明らかにした.本年度はビーデレー山・ニルスラルセン山について,岩石記載・化学分析・SHRIMP年代測定・Sr-Nd同位体分析を行い,①岩体区分,②マグマの成因解明,③活動年代の決定を行った.その結果,両山地の主体はワルヌム山と同様のマイロナイト化を被る片麻状トーナル岩で構成され,年代は998~995Maに収束することが判明した.一方,小規模ながら945Maや772Maのアダカイト質貫入岩の存在も新たに確認できた.成因的には,主体を成す岩石が未成熟火山弧で発生したソレアイト質マグマに由来し,さらにアダカイト質トーナル岩は海洋地殻起源と考えられる.このことから研究対象の変トーナル岩体は,未成熟な海洋島弧として形成しつつ,間歇的に熱い海洋地殻の沈み込みを被る環境にあり,これがやがてゴンドワナ超大陸の衝突に巻き込まれて南極大陸内に押し込められたものと解釈された.また,本岩体は約10億年前の海洋弧として始まり,ロディニア超大陸イベントには参加していないことが判明した.これらの成果は学会発表にて公表し,誌上発表すべく学術誌に投稿した.今後は,変トーナル岩の化学分析値とSr-Nd同位体組成を使用した詳細なマグマ成因論を追求し,そのマグマ発生過程から予想される岩体形成時の具体的なテクトニクスモデルの構築を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,南極大陸セール・ロンダーネ山地の変トーナル岩体のビーデレー山およびニルスラルセン山の岩石記載・化学分析・年代測定を当初計画通りに実施できた.さらに,獲得データより,①岩体区分,②マグマの成因解明,および③活動年代の決定を完了でき,この部分は当初計画より早く進行した.特筆すべき成果は,「研究対象はロディニア超大陸イベントを経験しておらず,未成熟火山弧の花崗岩質初期地殻として後期原生代に形成し,それがゴンドワナ超大陸形成時に大陸内部に押し込められた地質体である」という昨年度の予想を岩体全域の解析を完了することで確実視できたことである.成果公表では,学会講演・学術誌投稿が当初計画より早く進んでいる.また,本課題に関連する他の研究の成果公表も順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は研究最終年度である.本研究で解明してきた南極大陸セール・ロンダーネ山地の原生代変トーナル岩の実態(岩体区分・活動史と形成時期・成因)を整理・総括する.必要に応じて総括に必要な補足データ(特に岩石化学組成,同位体組成,年代値)を取得する.本年度は,上述した変トーナル岩体の実態を整理しつつ,超大陸(ゴンドワナ大陸)へと発展していった巨大花崗岩体の原点(最初の地質環境)が如何なるものであったかを鮮明にする.また学会発表および誌上発表にて成果公表を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,課題達成のための補足データ取得に必要な消耗品費のほか,成果公表や研究打ち合わせのための旅費や印刷費等を予定している.消耗品の具体的内容は,分析必需品(薬品,紙類,ガス類,消耗小型部品等),データ解析必需品(小型パソコン,データ記録物品等)である.本年度は繰越金が発生した.これは課題申請時に予定したSm・Nd同位体試薬調達(見積額426千円)に関して,課題採択前にデータ取得が必要となり,別予算で事前調達したことによる.24年度にもこの繰越金を有効活用したが,本年度にも繰り越し分が発生している.したがって,化学分析等にかかる消耗品費を増額し,当初計画よりもさらに精密な解析を実施することに活用したい.
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] An appraisal of Archaean supracrustal sequences in Chitradurga Schist Belt, Western Dharwar Craton, Southern India2013
Author(s)
Hokada, T., Horie, K., Satish-Kumar, M., Ueno, Y., Nasheeth, A., Mishima, K. and Shiraishi, K
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Journal Title
Precambrian Research
Volume: 227
Pages: 99-119
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Contrasting Archaean crustal records in western part of the Napier Complex, East Antarctica: New constraints from SHRIMP geochronology2012
Author(s)
Horie, K., Hokada, T., Hiroi, Y., Motoyoshi, Y., Shiraishi, K
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Journal Title
Gondwana Research
Volume: 21
Pages: 829-837
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Late Proterozoic juvenile arc metatonalite and adakitic intrusions in the Sør Rondane Mountains, East Antarctica
Author(s)
Kamei, A., Horie, K., Owada, M., Yuhara, M., Nakano, N., Osanai, Y et al.
Organizer
日本鉱物科学会2012年年会
Place of Presentation
京都大学(京都市)
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[Presentation] Late-Tonian to early-Cryogenian apparent depositional ages for metacarbonate rocks from the Sør Rondane Mountains, East Antarctica
Author(s)
Otsuji, N. Satish-Kumar, M., Kamei, A., Tsuchiya, N., Kawakami, T., Ishikawa, M., Grantham, G.H.
Organizer
日本鉱物科学会2012年年会
Place of Presentation
京都大学(京都市)
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