種分化過程における浮遊珪藻形態変遷の高時間分解能復元

2011 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 23540543
• Research Institution: Akita University
• Principal Investigator: 山崎 智恵子 (嶋田 智恵子) 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (60597186)
• Project Period (FY): 2011-04-28 – 2014-03-31
• Keywords: 珪藻 / 種分化 / 古海洋 / 形態 / 酸素同位体比

Research Abstract

海生浮遊珪藻のNeodenticula属は，出現順にN. kamtschatica, N. koizumii，N. seminaeの3種から構成され，（１）生存期間の相互関係や（２）全種が亜寒帯北太平洋外洋域で産出し，大西洋や南半球では極めて稀という地理的分布の一致，（３）形態の類似性から，Nitzschia rolandiiを祖とする単系統であると推定される．この3種は，3.0-2.0Ma(Maは100万年前）の短い期間に出現と絶滅が集中している．　本研究では，海生浮遊珪藻Neodenticulaの化石個体をモデルケースに，3.0-2.0Maの間の各種の興亡の際，特に2.7Ma頃にN. seminaeが分化し種として成立する前後に，形態にどんな変化が生じたかを，層準間の時間分解能を3000年程度に上げた生物計測により定量的に詳述し，この珪藻の進化的・生態的戦略や，水圏の環境動態との関連を考察することを目的とする．形態解析と同一の層準では，石灰質有孔虫殻を用いた質量分析によって酸素同位体比層序も構築し，微化石および古地磁気基準面との相互関係にもとづき年代軸を与える．　以上の研究目的にたち，当該（平成23）年度においては，北西太平洋で得られた海底柱状試料（国際深海掘削計画第186節掘削点1151）の3.0-2.0Ma部分について，あらかじめ定めた時間間隙によって約300層準請求した．請求は受理され，試料の入手後直ちに処理を始めた．処理には学生アルバイト1名を投入した．　試料は珪藻分析用と同位体測定用に小分けにされた．後者には全て凍結乾燥を施し，終了した．珪藻分析用試料は漸次乾燥・秤量されるが，既に一部の試料はその作業が終了している．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

試料の請求が遅れたため．　代表者が研究拠点としている大学博物館の大規模リニューアル（平成23年10月開館）と重なって想定外に負担が大きく，自分の研究の時間が殆ど取れなかった．結果，本研究の実質的スタートが遅れた．

Strategy for Future Research Activity

次年度以降には当該（平成23）年度のような研究活動への非常に大きな負荷は予定されていないので，研究計画に従って粛々と作業を進める．　国立科学博物館（つくば市）において予定する酸素同位体比分析のマシンタイムは今夏以降に予約が確定することになっている．この分析を滞りなく始めるために，学生アルバイトを投入できる過程には積極的に投入し，作業を効率的かつ迅速に進めたい．

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度以降は，前年度からの繰り越し分を，学生アルバイトへの謝金に研究打ち合わせや情報集のための国内出張旅費に充てるほか，当該（Ｈ23）年度の作業過程において必要性を強く感じた物品（遠心分離器等）を購入したいと考えている．同位体分析にかかる旅費等も夏以降使用予定である．

Research Products

• [Journal Article] Murakami, M., Shimada, C., Hikida,Y. and Hirano, H. (2012)
  • Author(s): A new basal porpoise, Pterophocaena nishinoi (Cetacea, Odontoceti, Delphinoidea), from the upper Miocene of Japan and its phylogenetic relationships.
  • Journal Title: Journal of Vertebrate Paleontology Volume: 32 Pages: in press
  • Peer Reviewed