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2012 Fiscal Year Research-status Report

バイオマーカーによって明らかにするイノセラムスの古生態

Research Project

Project/Area Number 23540544
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

荻原 成騎  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50214044)

Keywordsバイオマーカー / イノセラムス
Research Abstract

本年度は、北海道白亜系を中心とした試料採取のみならず、震災(原子炉事故)以降の立ち入り禁止が解除された福島県相馬地域の白亜系についてもイノセラムス試料の採取を行った。さらに、国立科学博物館の沿海州調査にて採取された試料など、海外の標本も入手した。これらの試料は、外形観察、写真撮影の後、粉砕時に殻と内部に分離できるものは、分離して粉砕した。岩石薄片を作成し、セメント鉱物の産状を観察し、続成作用について考察した。
化学分析は、まずXRDにて鉱物種の決定を行った(アラゴナイトが残っているか、変質の度合いの確認)。その後、炭酸塩炭素酸素同位体を測定し、堆積環境、続成作用についてのデータを得た。特に、殻がアラゴナイトとして残っている試料については、イノセラムス生息時の環境をそのまま残していると思われる。硫黄同位体分析は、イノセラムスそのものと、母岩について、それぞれ行った。硫黄酸化菌、硫酸還元菌の活動は、現在の所、認められない。さらにXRFを用いて、微量元素組成を測定した。冷湧水環境における微量元素の挙動は、研究が始まった段階であるため、この分野にも新しいデータを提供することができる。
バイオマーカー分析については、炭化水素画分について詳細な分析を行った。その結果、メタン酸化古細菌の膜起源でる化合物は、検出されていない。その他の菌起源の化合物については、詳細なマススペクトル解析を行っている。PAH画分から、地衣類を起源とするとされている化合物(ペリレン)が検出され、この化合物の微生物起源の可能性について検討中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

GC-IR-MSを用いて、イノセラムス化石から抽出した化合物の個別炭素同位体組成を分析する計画であった。残念ながら、当該機器の不調によって、個別炭素同位体組成分析が行われなかった。化合物の起源を議論するには、必須の情報であり、できるだけ早急に、調整を行う予定である。

Strategy for Future Research Activity

今後の新たな試料採取については、新鮮な、アラゴナイト殻が残っているイノセラムス化石をさらに収集する。今後は、北海道天塩中川地域において集中した試料採取を行う。天塩中川町立博物館にご協力をお願いする。
分析については、XRDによう鉱物決定、炭酸塩炭素酸素同位体分析、硫黄同位体分析、XRFによる微量組成分析を行う。化石内部の構造を薄片のみならず、SEMを用いて、化石化された菌の発見に努める。これらの分析、観察は、ルーチン化しているので実施に何の困難も伴わない。また、有機物の同位体組成分析についても計画中であるが、炭酸塩化したイノセラムス化石からの有機物の濃縮方を検討する。(通常の炭酸塩岩と同じ分析方法でよいのか、少量の試料を有効に使用するには、どのような手順が最適か、)
バイオマーカー分析については、炭化水素画分から、ターゲットとした化合物が得られていない。さらに分析数、試料数を増やすとともに、極性画分の分析に力を入れる。すなわち、アーキオールの脂質部品分析によって、メタン菌などの分類同定を行おうとするものである。この作業についても、日本海堆積物、シロウリガイなどで行ってきた分析であり、容易に行うことができる。これまで、炭化水素にこだわり過ぎていた反省も込めて、極性化合物の分析に最終年度の力を集中する。
個別炭素同位体分析については、機器の調整の目途がついている。夏の北海道調査までには調整を終了し、稼働させる。
9月の地球化学会にて、当該研究の発表を行う。年度内に分析結果をまとめ、古生物系もしくは地球科学系の学会誌に投稿する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

予算60万円と繰り越し16万円、合計78万円である。
1、化合物構造決定に用いているGC/MSの消耗品、25万円
2、分析に用いる試薬、溶媒およびガラス器具。17万円
3、北海道調査出張(一週間)、学会発表(筑波))18万円
4、分析補助謝金 18万円

  • Research Products

    (2 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 日本海東縁MD179コア表層堆積物中の硫黄同位体組成2012

    • Author(s)
      荻原成騎 戸丸仁 松本良
    • Journal Title

      石油技術協会誌

      Volume: 77 Pages: 365‐369

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] なつしまNT-06-19によって採取された日本海メタン湧出海域の堆積物柱状試料を用いた有機無機地球化学研究2012

    • Author(s)
      荻原成騎 松本良
    • Organizer
      日本地球化学会第59回年会
    • Place of Presentation
      福岡県九州大学箱崎地区キャンパス
    • Year and Date
      20120911-20120913

URL: 

Published: 2014-07-24  

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