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2013 Fiscal Year Research-status Report

バイオマーカーによって明らかにするイノセラムスの古生態

Research Project

Project/Area Number 23540544
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

荻原 成騎  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50214044)

Keywordsイノセラムス / バイオマーカー / 化学合成 / 硫黄同位体組成 / 炭酸塩炭素同位体組成 / メタン酸化古細菌 / 硫酸還元菌 / 脂肪酸組成
Research Abstract

国立科学博物館、天塩中川趙博物館などの協力により収集したイノセラムス試料と、北海道白亜系の踏査により採取したイノセラムス試料について、バイオマーカー分析を行ない、化学合成群集としての評価を試みた。バイオマーカー分析に先立ち、続成作用を評価するため、イノセラムス殻と包有するノジュールについて、X線回折分析、炭酸塩炭素酸素同位体分析、硫黄同位体分析、微量組成分析(XRF)を行い、被った続成作用を評価した。
バイオマーカー分析には、保存が良好な(アラゴナイト殻が残っているなど、続成作用を比較的被っていない)天塩中川町炭の沢産イノセラムス化石(Inoceramus oriental; Mid Campanian)のバイオマーカー組成の特徴は、炭化水素画分においては、n-アルカンの分布が特徴的である。  すなわち、n-C16とn-C17に頂点を持ち、n-C13 からn-C21までユニモーダルな分布を示した。ここで、CPI(C13-C21)値は0.79と1以下の値を示した。各n-アルカンの炭素同位体組成は-30‰を下回らない。他試料の分析結果については、このようなn-アルカンのユニモーダル分布とn-C29とn-C31に頂点を持つ陸源高等植物を起源とするn-アルカンの混合で形成されている。PMIやクロセタンなどのメタン酸化古細菌を起源とする炭化水素バイオマーカーは検出されなかった。これに対して脂肪酸組成は、卓越するC16脂肪酸と-30‰を下回らない炭素同位体組成で特徴付けられる。また、芳香族炭化水素画分ではペリレンが卓越した。
このように、化学合成細菌との共生を決定付ける特殊なバイオマーカーは検出されていないが、バイオマーカー分析の結果を中心にイノセラムスの化学合成群集の可能性が示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度は、GC/MS分析、GC/C/MS分析に不可欠なヘリウムガスが、一時的に市場から消え、入手できない時期があった。不幸にも、ヘリウムガスボンベ交換時と一致してしまい、ヘリウムガスが入手できずに、予定していた分析が行えない事態となった。平成26年4月に入っても、高純度ヘリウムガスの価格決定さえなされておらず、大きな不安材料となっている。

Strategy for Future Research Activity

採取、収集したイノセラムスの分析はほぼ修了したが、環境値として比較を行う試料、具体的にはイノセラムスなどの化石を含まない炭酸塩ノジュールの分析が遅れている。今後は、我々の研究室で保有する化石を含まない炭酸塩ノジュールについて、イノセラムス化石と同様の分析を行い、これを環境値として、イノセラムス化石より得られた分析値と比較し、議論を行う。すでに、試料採取は問題なく終了しており、ヘリウムガスも入荷予定であるため、研究遂行に何の問題もない。
ヘリウムガスを入手した後に、詳細なバイオマーカー分析を完了させ、分析結果について議論を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本年度は、GC/MS分析、GC/C/MS分析に不可欠なヘリウムガスが、一時的に市場から消え、入手できない時期があった。不幸にも、ヘリウムガスボンベ交換時と一致してしまい、ヘリウムガスが入手できずに、予定していた分析が行えない事態となった。平成26年3月に入っても、高純度ヘリウムガスの価格決定さえなされておらず、大きな不安材料となっている。このような原因により、購入予定であった高純度ヘリウムガスの購入が次年度となったため、研究費の執行が次年度となった。
すでに、バイオマーカー分析の前処理は、ほとんど終了している。高純度ヘリウムガスを購入した後に、GC/MS分析、GC/C/MS分析を行い、イノセムスと共生していた微生物の特定をお行なう。分析結果を用いてイノセラムスの古生態についてさらなる議論を行う。

  • Research Products

    (3 results)

All 2014 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Is the lycopane/n-C31 reatio an effective proxy of palaeoxicity of bottom water for the Japan Sea2014

    • Author(s)
      Shigenori OGIHARA
    • Journal Title

      Journal of Asian Earth Science

      Volume: 88 Pages: 54-59

    • DOI

      10.1016/j.jseaes.2013.12.012

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] バイオマーカーが明らかにするイノセラムスの古生態2013

    • Author(s)
      荻原成騎 重田康成
    • Organizer
      日本有機地球化学会
    • Place of Presentation
      倉敷市文芸館
    • Year and Date
      20130820-20130820
  • [Presentation] MD179航海にて採取された日本海表層堆積物中の異常なリコパン分布2013

    • Author(s)
      荻原成騎
    • Organizer
      地球惑星連合学会
    • Place of Presentation
      幕張メッセ
    • Year and Date
      20130522-20130522

URL: 

Published: 2015-05-28  

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