2013 Fiscal Year Annual Research Report
フルオロアルキル鎖を特徴とするフラーレンGeminiによる導電性薄膜の開発
Project/Area Number |
23550216
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
川瀬 徳三 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (60152956)
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Keywords | フラーレン / フルオロアルキル基 / 単分子膜 / 表面圧‐面積曲線 |
Research Abstract |
フラーレンC60は、一般的な展開単分子膜法では高い凝集性のため多層構造の膜形成しか達成されないことから、本研究ではC60分子の配列制御された単分子膜を主眼とし、① 2鎖多親水基構造の活用、②フルオロアルキル鎖の剛直性の活用という新たなコンセプトを提案した。それぞれ別途に検討した結果(平成23~24年度)、C60をアジリジノフラーレン型界面材料とすることで疎水鎖の配向・配列制御を有効に活用できること、さらに平成24年度には、③フルオロアルキル(Rf)基3鎖型界面材料をマトリクス分子とする新規なC60の単分子膜形成法を見出した。 平成25年度は、これら成果の発展を目指し、合成ではフラーレン含有界面材料の収率向上および新たなRf 3鎖型界面材料開発を継続するとともに、表面圧-面積(π-A)測定から単分子膜形成挙動を詳細に検討し、C2v対称性の2鎖2親水型では極限面積A0~1.25nm2、2鎖4親水型(Gemini型)ではA0~4.8 nm2と、C60が重なり合わず配列していることを明らかにした。Gemini型では分子デザインから期待した~2 nm2よりも大きく、C60は予想より疎に配列している。特に、③について、π-A測定とBAM観察から、C60とRf 3鎖型界面材料を1:1で最初から溶液で混合すると、クラスター分子がC60分子間に入り込み溶液中で分子分散が進み、展開の際にもRf基の撥油性の効果によってC60の凝集力が緩和され、π-A測定における崩壊直前(1.1nm2)で円盤状ドメインのストライプ構造が出来ていることから、クラスター分子の単分子膜上でC60の単分子膜形成が進行し、結果として表面に全体に散らばったC60の膜が形成されることが明らかになった。このC60膜を水平法(LS膜)で基板に写し取り、デバイスとしての展開は今後の課題である。
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