2013 Fiscal Year Annual Research Report
低速電子顕微鏡の動力学的解析による鉄シリサイドナノアイランド構造と発光条件の解明
Project/Area Number |
23560021
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
松本 益明 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (40251459)
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Keywords | 薄膜 / 表面構造 / 低速電子回折法 / 低速電子顕微鏡法 / 動力学的解析 / 鉄シリサイド |
Research Abstract |
本研究課題においては,高い空間分解能を有する低速電子顕微鏡(LEEM)を用いて,赤外発光素子の素材として期待されるシリコン表面上での鉄シリサイドナノアイランド成長初期過程をナノメートルからマイクロメートルのスケールで研究した. 反応堆積(RDE)法および固相エピタキシー(SPE)法の両方の薄膜形成法を用いて島の形成・発展の様子を詳細に観察し,LEEMの明視野像と暗視野像を比較することにより、構造の違いを判別した.いくつかの条件において形成した構造の異なる領域についてLEEM強度(低速電子回折(LEED)における特定の回折点の強度に相当する)の入射電子エネルギー依存性(I-V曲線)を測定し,動力学的な構造解析をおこなった. また,SPring-8の光電子顕微鏡(PEEM)により,鉄のL3及びL2X線吸収端付近の700-740 eVのエネルギー範囲の放射光を用いて,PEEM像の入射フォトンエネルギー依存性を測定し,高い空間分解能でX線吸収スペクトル(XAS)を抽出した.さらに,装置の備える分光器を利用して制限視野法による微小領域のLEEDのI-V曲線を低バックグラウンドで測定し,動力学的な解析に利用した. LEEM像の強度からのLEED I-V曲線の測定では,回折点の数が制限されるが,50 nm 程度の空間分解能で100 eV程度までのエネルギー範囲を測定することが可能であり,制限視野LEEDモードでのLEED I-V曲線の測定では,空間分解能が1ミクロン程度まで落ちてしまうが,より多くの回折点について,500 eV程度までの広いエネルギー範囲の測定が可能であった.さらにPEEMを併用することによりアイランドの組成の情報も得られた.これらをLEEDの動力学的電子回折強度計算と組み合わせることで,通常のLEEDでは不可能な微小領域の構造解析が可能であることを示すことができた.
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Research Products
(6 results)