2012 Fiscal Year Research-status Report
多結晶酸化亜鉛薄膜における配向制御とアクセプタドーピングに関する研究
Project/Area Number |
23560026
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
牧野 久雄 高知工科大学, 総合研究所, 准教授 (40302210)
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Keywords | 酸化亜鉛 / ドーピング / 配向制御 / アクセプタ |
Research Abstract |
平成24年度は、面内格子定数の異なる酸化物ナノシートをシード層とした反応性プラズマ蒸着法による多結晶ZnO薄膜の成膜とともに、サファイア基板上への成膜を行い、結晶構造、電気伝導特性について比較検討を行った。また、発光分光によるプラズマ状態の評価とともに、アクセプタとして窒素を導入した場合の影響について検討した。 c面サファイア基板上への反応性プラズマ蒸着法での成膜では、基板温度200℃といった低温においてエピタキシ成長を実現し、c軸配向性が高く、面内方向でZnOのa軸がサファイア基板のm軸方向に揃った薄膜試料について、ガラス基板上の多結晶薄膜との電気伝導特性の違いを明確にした。膜厚依存性については、ガラス基板、酸化物ナノシート、サファイア基板の比較から、c軸配向度に依存したホール移動度の変化を解明した。また、成膜時の酸素流量依存性に対しては、昇温脱離測定、結晶格子定数、ホール効果の温度依存性から、電気伝導特性に対する粒界散乱の寄与を明らかにした。これらの成果は、薄膜配向性を劇的に変化させながら比較実験を行った本研究によってはじめて明らかとなり、多結晶膜におけるキャリア散乱機構を理解するための重要な知見となる。 多結晶ZnO膜へのアクセプタドーピング特性については、発光分光により酸素ガス流量および窒素ガス導入の有無に対するプラズマ状態の評価を行うとともに、膜中に取り込まれた窒素濃度を調べ、成膜条件と窒素濃度との関係について知見を得た。これによって、薄膜配向性の制御がアクセプタのドーピング特性に対する影響を検討するための準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、ガラスやプラスチックなど無秩序基板上での多結晶ZnO薄膜の配向制御を実現し膜物性に与える影響を解明すること、反応性プラズマ蒸着法におけるアクセプタドーピング特性を調べ、p型ZnO成膜技術としての可能性を探ることである。 これまでに、酸化物ナノシートシード層を用いた配向制御、単結晶基板上のエピタキシ成長を実現し、電気伝導特性への影響の解明、成膜条件とアクセプタドーピング濃度の検討まで進んでいる。結晶方位の影響とともにこれまでの知見を集約して、p型ZnOの可能性を探る最終年度の計画に向けた準備が整っており、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗は当初研究計画通りに概ね順調に進んでいるが、当初計画で見込んでいなかった分析が必要となる可能性がある。次年度は最終年度となることから、分析の必要性と成果発表の内容とを精査しながら研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究は概ね順調に進捗しているが、成果の取りまとめの遅れによって成果発表旅費が次年度使用額として生じた。最終年度となる次年度は、基板や原料等の消耗品費と成果発表旅費とともに、計画当初見込んでいなかった分析の必要性を判断しながら研究費を使用する。
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Research Products
(3 results)