2012 Fiscal Year Research-status Report
ミスオリエンテーション理論に基づく新規Al合金板材創製のためのプロセスメタラジー
Project/Area Number |
23560106
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
倉前 宏行 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (90298802)
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Keywords | 結晶塑性 / 結晶成長 / マルチスケール / 集合組織発展 / 有限要素法 / 材料創製 / 材料設計 / シミュレーション工学 |
Research Abstract |
自動車車体用(ボディパネル用)薄板材について,高強度と高成形性能を兼ね備えた新規板材創製のためのプロセスメタラジー手法を開発中である.特に,アルミニウム合金などの難加工材について,成形性(主に深絞り性)の向上を目標に,板材料創製過程の熱処理を含めた多段圧延において微視結晶形態制御を行うための基盤技術開発として,ミスオリエンテーション理論にもとづくAl板材創製過程における再結晶現象をコンピュータ上に再現するための基盤技術開発を行った. 本年度は,まず,圧延工程時の塑性変形にともなう塑性発熱量を塑性変形エネルギーから換算し,熱伝導方程式にもとづき板材の温度分布を有限要素法を用いてシミュレーションした.ここでは,マクロスケールにおける巨視的な材料創製(圧延工程)時の温度変化について,塑性変形にともなう内部発熱量を理論的に算出することができた.Numisheet国際会議が設定したベンチマーク用アルミニウム合金板材(A6022-T43)について仕上げ圧延を想定したシミュレーションによって,妥当な温度分布を得ることができた. 今後は,得られた温度分布により熱・弾/結晶粘塑性連成構成式による巨視解析を行い,さらに微視的な結晶粒界における結晶粒間のミスオリエンテーションを導入した核配向・選択成長による動的再結晶の集合組織発展を解析可能にする.このとき,結晶粒間のミスオリエンテーションはすでに定式化,解析コードへの組み込み,およびその妥当積の検証は終了しており,早急に板材創製プロセスにおける多目的・大域的離散最適化の定式化に着手する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにミスオリエンテーションを表現する相当ミスオリエンテーション(スカラー量)の定義とその空間分布について,マルチスケール有限要素解析コードへの組み込みを終え,さらに塑性発熱の取扱についてもシミュレーション可能なところまでこぎ着けたことから,申請時の研究目的に沿って,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
申請書記載の研究方法にしたがい,動的再結晶過程のシミュレーションを完成させるため,まず,静的再結晶過程のモデル化と解析を行い,実験値との比較によってその妥当性を検証する.その後,動的再結晶過程のシミュレーションへと展開していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
出張旅費が予定よりも安価に済んだため,次年度繰越額32,962円が生じた.これを含めて,次年度研究費では,シミュレーションのための計算サーバの導入,および研究成果発表のための旅費の支出を予定している.
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Research Products
(7 results)