2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560120
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
早川 伸哉 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10314080)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 放電加工 / 極間隙 / 放電点 / 加工くず / 加工液 / 気泡 / 高速度ビデオ |
Research Abstract |
本研究は放電加工において放電点から溶融金属が除去されるメカニズムを解明すること,および,加工の安定性に対して加工液が果たしている役割を検証することを目的としている.平成23年度は高速度ビデオによる放電点の直接観察と極間隙における気泡の合一挙動の観察を行った. はじめに,パルス放電の持続時間中に溶融金属が除去されるタイミングを明らかにすることを目的として放電点の直接観察を行った.先行研究では金属細線を貫通させた透明樹脂板と金属丸棒の端面を対向させた平行平板極間隙を垂直方向から(透明樹脂板を通して)観察していたため,放電点そのものは電極の陰になって観察できず,加工くずが発生したタイミングを精度良く求めることができなかった.そこで,2枚の金属薄板を縦方向に配置し,極間隙に平行な方向から観察することにより放電点を直接観察することを試みた.その結果,放電点から除去された直後の加工くずを捉えることができ,除去タイミングを精度良く求めることができた.また,極間隙を飛散していった加工くずが次の放電を誘発する現象や,短絡の場合に電極材料が赤熱した状態になってはじけ,大きな塊が崩れるように転がり出る現象などが観察された. 次に,加工液の役割を検討することを目的として,極間隙での気泡の合一挙動を観察した.直径1mmの鉄細線3本を約5mm間隔で貫通させた透明樹脂板と直径20mmの銅丸棒を対向させて平行平板極間隙を構成し,加工液中で連続加工を行った際の気泡の挙動を透明樹脂板を通して観察した.その結果,気泡は合一するだけでなく分断される場合もあること,分断と合一を繰り返している個々の気泡の縁で加工くず濃度が高いこと,流動している気泡の縁が細線電極の位置に差し掛かるとそこで放電が発生すること,などがわかった.この結果から,細かい気泡が極間隙で流動できる加工液が加工の安定性にとって望ましいといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に新規の実験装置の製作を計画していたが,従来の装置を改良して実施できる実験を優先して行ったため,新規装置による実験が遅れている.一方,最終年度に計画していた実験の一部を初年度に実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に実施できなかった新規実験装置の制作と実験を次年度に実施する.全体計画の中で実施する順番を入れ替えた形であるが,それぞれの実験の目的と方法は当初の計画の通りである.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は,23年度に新規に製作する予定であった実験装置の製作を次年度にまわしたためである.これは,従来の実験装置を改良することで比較的容易に実施できる実験を着想し,その方法で興味深い結果が得られたことから,そちらを継続することを優先したためである.23年度に計画していた新規装置の製作を24年度に行う予定であり,そのための物品を購入する.
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