2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560120
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
早川 伸哉 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10314080)
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Keywords | 放電加工 / 放電点 / 溶融金属 / 材料除去 / 加工くず / 高速度ビデオ |
Research Abstract |
本研究は放電加工において放電点から溶融金属が飛散するメカニズムを解明すること,および,加工の安定性に対して加工液が果たしている役割を検証することを目的としている.本年度はパルス放電によって溶融金属が飛散する瞬間を動画として観察することを目的として,高速度ビデオによる放電点の直接観察を行った.実験は2枚の金属薄板を縦方向に配置して放電を発生させ,極間隙に平行な方向から観察する方法で行った.この方法は前年度に行った実験(放電点,極間隙を飛散する加工くず,気泡の膨張・収縮運動の観察)で試みた方法を基にしており,とくに放電点において溶融している金属の様子を捉えるためにズーム倍率,撮影速度などの撮影条件を調整した. はじめに,放電中に生じる材料除去の観察を試みたが,アークプラズマの発光が強いため溶融金属を観察することは困難であった.一方,放電終了後にも材料除去が生じる場合があることを本研究でこれまでに明らかにしており,放電終了後であればアークプラズマの発光が放電点の観察を阻害することはないことから,放電終了後に焦点を絞って観察を行った.その結果,溶融金属が流動して波打つ様子,流動によって隆起した体積の一部が母材表面から千切れて飛散する様子,飛散しかけた体積が引き戻される様子などが観察された.これらの観察結果から,材料除去メカニズムとして溶融金属の流動や表面張力が関係していることが推察された.溶融金属の流動が生じるメカニズムとしては加工液が気化・分解した気泡の膨張・収縮運動,プラズマ消沈(陽イオンと電子の再結合)に伴う放電点の圧力低下,圧力低下に伴う溶融金属のキャビテーション,溶融金属中に溶解した気泡成分の脱気,溶融金属内に生じるマランゴニ対流など様々な要因が考えられるが,動画の情報のみからそれを特定することはできない. 本年度はまた,急減圧実験装置の製作を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に計画していた急減圧実験装置の製作を本年度に行ったが,調整作業を継続しているためデータを取得するには至らなかった.また,放電点圧力の測定と加工くず飛散の観察を同期して行う実験もまだ実施していない. 一方,最終年度に計画していた実験の一部を既に初年度に行うなど,当初の計画とは順番を入れ替えて実施している.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に計画していたもののまだ実施していない急減圧実験を最優先で実施する.また,実験を担当する大学院生および卒研生の人数を増やし,急減圧実験,加工くず飛散の観察,加工液の役割解明の実験を並行して実施する計画である.全体計画の中で実施する順番が入れ替わっているが,それぞれの実験の目的と方法は当初の計画の通りであり大きな変更はない.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は放電点圧力の測定と加工くず飛散の観察を同期して行う実験を次年度にまわしたためである.これは,加工くず飛散の観察を新しい卒研性が担当し,実験に習熟するのに時間を要したため放電点圧力の測定を同時に行う段階まで至らなかったためである.この学生は大学院に進学して引き続き本研究に従事する予定であり,加工くず飛散の観察には十分に習熟してきたため,放電点圧力の同時測定を平成25年度に実施する計画であり,そのための実験機器を購入する.
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