2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23560120
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
早川 伸哉 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10314080)
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Keywords | 放電加工 / 放電点 / 溶融金属 / 材料除去 / 気泡 / 合一 / 排出 / 高速度ビデオ |
Research Abstract |
本研究の目的は放電加工において放電点から溶融金属が飛散するメカニズムを解明すること,および,加工の安定性に対して加工液が果たしている役割を検証することである.本年度は急減圧モデル実験と気泡排出の観察を行った. 急減圧モデル実験の目的は溶融部の除去がキャビテーションによって生じるという仮説を検証することである.高圧容器内に設置した金属板を通電加熱によって溶融させ,容器内の圧力を急激に減圧させたときの様子を高速度ビデオを用いて観察した.その結果,圧力が低下したタイミングで溶融部が飛散する現象が観察された.これにより,圧力低下に伴う溶融金属のキャビテーションによって材料除去が生じ得ることが初めて実証された. 次に,加工液の物性と加工の安定性の関係を明らかにすることを目的として,加工液が気化・分解した気泡が極間隙から排出される様子を観察した.実験は金属細線を貫通させた透明樹脂板と金属丸棒の端面を対向させて平行平板極間隙を構成し,連続加工中の極間隙を透明樹脂板を通して観察した.その結果,極間隙に無数に存在する気泡が時間とともに合一して大きくなっていくこと,および,大きい気泡が加工領域の縁に達すると一気に排出されることがわかった.また,気泡や加工くずを極間隙から排出するために行われるジャンプ動作では小さい気泡は排出されず,大きい気泡だけが排出されることがわかった.気泡が合一しやすいことは放電発生位置の偏在や加工くずの再付着を招くため望ましくないと考えられるが,気泡の排出を促進して加工を安定させる良い作用もあることがこの実験で明らかになった. 本研究全体では放電加工の放電点と極間隙の高速度ビデオ観察を行い,加工くずの飛散や気泡の挙動など従来は知られていなかった加工現象を初めて明らかにした.そして,材料除去メカニズムと加工液の役割に関する筆者らの新しい仮説を検証することができた.
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