2013 Fiscal Year Annual Research Report
超微細組織材によるマイクロ部品製造のための被切削特性評価に基づく切削技術開発
Project/Area Number |
23560135
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 孝史朗 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (70262409)
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Keywords | 切削特性 / せん断変形 / 大ひずみ加工 / 結晶粒微細化 |
Research Abstract |
金属を高強度化する方法の一種に極大ひずみ加工がある.本研究ではその中でくり返しせん断変形加工(ECAP:Equal Channel Angular pressing)に注目した.ECAP加工による製品は加工上の制約から小型の機械構造用素材への適用が考えられる.この大きさの加工は主として精密切削となるため被削性が重要となる.そこでECAP加工された超微細組織を有する供試材の二次加工性としての被削性を調査した. ECAPを最高4回加工した素材より切削用の試験片を切り出し,突っ切りによる二次元切削によって切削特性を評価した.すくい角は0°,5°,10°,13°,15°,18°,20°,25°の8種類,切削速度は15mm/min,切り込み量は20μmとした. ルートAでECAP加工した素材ではECAPより導入されたせん断変形帯と切削のせん断角がほぼ一致する条件では明白な切削抵抗の低下が確認されたが,他の面や方向においてはECAP加工回数の増加に伴い切削抵抗値は増加し,一般的な切削現象と変わらない事が分った.ルートCで偶数回のECAP加工を施した素材の加工組織は等軸粒の様になり,その切削特性に面や方向における異方性は確認できなかった. ミクロ切削実験が装置の都合で実施できなかったため,マクロレベルにて違った視点で評価できるか試みた.ここでは切削における最大せん断応力説に則り,せん断変形帯の向きが影響を及ぼすのか圧縮試験によって確認した.各加工材から長手方向がECAPにより導入されたせん断変形帯に対して45°方向になるよう試験片を切り出した.結果として加工回数が増すごとに降伏応力も増加し,加工回数に伴い材料強度が高くなる事が確認された.しかし特定の面および方向において切削抵抗が減少する事象の解明には至らなかった.加工組織の状況に応じた切削条件を行なうためにもマイクロ切削の必要性が確認された.
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