2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560139
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
森本 喜隆 金沢工業大学, 工学部, 教授 (00290734)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
1)リニアモータ駆動NC旋盤による制御系の動特性を考慮した補正指令値の算出および機上計測結果を用いた補正指令値算出手法の確立 ・リニアモータ駆動NC旋盤を用いて,実際に三次元曲面を旋削加工することに成功した.駆動型ロータリ工具を工作物中心からY軸方向にオフセットさせ,工具-工作物間の干渉を回避することにより,これを可能としている.特殊な工具設置方法を採用しているため,三次元曲面を創製するための指令値は独自に開発したCAMシステムを用いて算出される.このとき,制御系の動特性を考慮し,あらかじめフィードフォワード項を不可した修正指令値と繰返し制御を用いて作成した修正指令値を用いて設計動作軌跡に対して±6μm以内の精度を達成した. ・タッチプローブをロータリ工具径と等しくすることにより,NCプログラムの位置指令値そのものと機上計測時のタッチプローブの位置との差を求めることで,これを用いた修正指令値を算出するアルゴリズムを完成した.タッチプローブの接触信号を基に繰返し位置決め精度を検証した結果,±1μm以内で接触位置を検出することができ,形状を正確に測定できることを確認した. 2)ロータリ工具の形状評価および加工条件選定の実験的解明 ・駆動型ロータリ工具の回転数を主軸回転数と等しくすることにより,工作物表面粗さが良好となることを実験的に証明した.さらに,加工条件についても切込み量と送り量を実験的に決定し,SCM432(HRC61)およびSKD11材を焼入処理(HRC59)した工作物を加工することに成功した. ・主軸を正転,逆転することにより,切込み動作の際に発生する加速度を飛躍的に減少させることを考案し,複雑形状の三次元曲面を加工できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
駆動型ロータリ工具を工作物回転中心高さからY軸方向にオフセットした工具設置位置を採用するために,独自に開発したCAMシステムを用いて,切込み指令値を算出している.このシステムの開発により,加工により形状誤差から修正指令値を算出できる機能を持たせることが可能となっている. 本研究では,このNCプログラムを利用して機上で形状誤差を測定することにより,修正指令値を算出する方法を考案している.つまり,ロータリ工具と同一直径のタッチプローブを特別に製作し,これを用いて機上測定する.これにより,NCプログラムで指令された位置に対するタッチプローブ接触位置との差を測定でき実切込み位置が特定できる.これらの差を用いて修正指令値を算出するCAM・CATシステムを構築した. 平成24年度には,研究初年度で購入したの座標計測装置の特注スタイラスを用い,NCプログラムを低速動作させ,スタイラスを工作物に接触させることにより移動テーブル位置を制御装置に測定データとして保存する機能の開発に成功した. この形状測定システムは,直前に加工したNCプログラムの指令値から修正指令値を算出,変更できるため,三次元測定機等を用いることなく機上で簡易形状評価が可能な実用性の高い制御システムを構築した. 以上の理由により,本研究課題は当初の計画通り,研究目的を達成していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
自動車メーカの助言を受け,具体的な工作物として自動車部品を想定した形状を設計し,これを開発したCAM・CATシステムとNC旋盤を用い加工を行い,部品形状の精度評価と生産性について検討する.これにより本研究課題の研究成果について総合評価を行う. さらに,他の回転軸を有する非対象三次元曲面を持つ部品について加工事例を増やし,学会や展示会を通して,本研究課題で達成した加工手法を普及,啓蒙を行い,産業界に発信していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)3D-CADデータのIGESデータから直接工具軌跡を算出するをシステムの完成度を高める. 2)測定時間の短縮方法について検討し,計測プログラムの改良を行う. 3)米国機械学会にて,本研究課題の成果について発表を予定している.
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Research Products
(11 results)