2012 Fiscal Year Research-status Report
医療用固定具に使用される生分解性ポリ乳酸のクラックレス微細加工技術の構築
Project/Area Number |
23560140
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 秀治 金沢工業大学, 工学部, 教授 (90278101)
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Keywords | ポリ乳酸 / 微細加工 / クラックレス / ダイヤモンド工具 |
Research Abstract |
脳神経外科手術における最先端技術を支える医療部品の一つとして用いられている骨切り後の患部を固定する部品には、生体適合性や診断画像の改善の観点から脱アーチファクト材料であるポリ乳酸を使用することが有効とされているが、部品加工時に生じるマイクロクラックの残存が問題視されている。本研究では、ポリ乳酸部品の加工における信頼性向上を図るため、回転工具を用いて切り取り厚さを薄く制御することによる微細加工技術の構築を試みる。 本年度は前年度の積み残し部分を実施するとともにクラックレスをを実現するための加工条件の最適化、微細切削機構について検討した。 最適条件下における微細切削メカニズムの検証を行うため、微細加工後の加工表面の構造解析について、極低加速電圧走査電子顕微鏡を用いて極表面層の観察を実施した。しかしながら、当初想定していたような微細クラックを明確にとらえることができなかった。刃先稜線の鋭利さが影響していることが考えられるため、バインダレスナノダイヤモンド工具による微細加工を行い表面状態を把握している。 一方、微細切削挙動を詳細に観察するため基礎的な二次元切削を試み、切りくず挙動を高速度ビデオカメラを用いて観察した結果、せん断角はプラスチック材料と同様大きい状態で切りくず生成されていることを明らかとしている。さらに、切削温度の測定を実施し、切削温度の観点から加工条件の有効性を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績でも述べているが、前年度分の実験内容を継続して実施したため、その分実験計画が遅れている。また、当初想定していたような微細クラックを明確にとらえることができなかったため。刃先稜線の鋭利さを向上させたバインダレスナノダイヤモンド工具を投入し再度微細加工を行い表面状態を把握している。微細切削挙動の検証については基礎的な二次元切削を試み、高速度ビデオカメラによる微視的な観察が実施できていることや切削温度の測定も予定していた段階までは完了している。加工表面の構造解析については十分な結果が出ていないものの、本年度分の6割程度は実施できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は最終年度になるが、積み残している部分がある。この部分が最終年度の実施計画のキーポイントとなるため、まず“FT-IR-ATR法を用いた構造解析によるポリ乳酸の加工表面の検証と非接触3次元表面形状・粗さ測定機による表面残存クラック形態の微視的観察”を実施する。これをもとに本年度の計画である“レーザ照射を用いた外部エネルギー供給によるクラックレス加工表面の創製”を試みるものとする。さらに、実際の固定具の製作を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は前年度繰り越し分と本年度の経費を合わせて申請している。 本年度も対象とするポリ乳酸を購入する。これらは切削実験を行うために必要不可欠の素材であるとともに、医療用材料であるためかなり高額である。当初の計画に従い3年間に分けて購入予定としている。工具経費についてはバインダレスナノダイヤモンド工具の購入費として使用する。また、構造解析と表面残存クラックの観察費として繰り越し分を機器分析使用費として計画している。
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Research Products
(3 results)